紅茶とキルト

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紅茶のお好きな人、いますよね。
紅茶派がいれば、珈琲派もあって。イギリスのジョンソン博士は紅茶党。フランスのバルザックは珈琲党。
チャンドラーは、紅茶だったみたいですね。

「私たちはしばらく、午後のお茶をやめることにしました。」

レイモンド・チャンドラーは、1951年4月の手紙に、そんなふうに書いています。宛先は当時、チャンドラーの秘書だった、ファニタ・メシック夫人になっています。「午後のお茶」というからには、紅茶なんでしょう。
「午後のお茶」をやめる理由。一日が忙しすぎるので。チャンドラーは晩年、ロス近郊の、ラ・ホヤに住んでいた。はるかに年上の愛妻、シシーと。
そのシシーが病がちなので、チャンドラーは家のことをぜんぶやっていた、朝ごはん、昼ごはん、夜ごはん。で、「午後のお茶」はやめることに。チャンドラーは、愛妻家だったんですね。
チャンドラーが1939年に発表したのが、『大いなる眠り』。名作ですよね。
1939年、フランスで生まれたのが、「シトロエン 2CV」。必要最小限を追求した名車。「シトロエン 2CV」が出てくるミステリが、『パンプルムース氏の秘密任務』。1984年に、マイケル・ボンドが発表したユーモア小説。

「シトロエン 2CVを製作するにあたって、ブーランジェ社長が設計チームに与えた指示は、季節を問わず、どんな道でも走れる車をというもので……」。

主人公で、探偵役の、アリスティード・パンプルムースの愛車が、シトロエン 2CV。それが熱く語られるのも、当然でしょう。また、こんな文章も。

「スコットランドではハギスといっしょに好んで蕪を食べる。おそらく必要なのだろう。短いキルト姿で寒くて長い冬を過ごすとなれば。」

キルトがスコットランドの民族衣裳であるのは、言うまでもないでしょう。
キルトねえ。キルトを穿いての紅茶。これは夢物語でしょうね。

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