白檀とピン

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

白檀は、佳い薫りですよね。白檀は天然の木で、その木自体に薫りがあります。数多い香木のひとつ。
白檀の扇なんかもありますよね。白檀を薄い板にして、これを重ねて、扇に。扇がなくても、持っているだけで、馥郁と……。
「栴檀は双葉より芳し」などと言います。あの「栴檀」もまた、白檀のことなんだそうです。白檀は若木の時から、はやくもよく薫るんだとか。
白檀については、『世事百断』に詳しい。山崎美成の著。天保十四年の刊。西暦の1844年のこと。山崎美成著『世事百談』によれば、「栴檀は双葉より芳し」はもともと仏教での言葉だったという。
また、「頻伽鳥」にもふれています。はるか遠い国に「頻伽鳥」という鳥があって。この鳥は卵の中にいる時から素晴らしい声で啼くんだとか。つまり「栴檀は双葉より芳し」の鳥版として紹介しているのですが。
白檀が出てくるミステリに、『髑髏城』があります。1931年に、ディクスン・カーが発表した物語。この中に。

「部屋の四すみでは、白檀のかおりが高く、香炉からうずまきながらのぼっている。」

これはライン河沿いの古城での様子。また、こんな描写も。

「バンコランは、真珠のネクタイ・ピンをさしたメフィストフェレスだった。」

バンコランは、パリの探偵という設定。パールのピンということは、昼間の装いなんでしょうね。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone