ヤードレーと洋服屋

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ヤードレーは、倫敦の男性化粧品の銘柄ですよね。Y ardl ey と書いて、「ヤードレー」と訓むわけです。
ヤードレーそもそものはじまりは、よく分かってはいません。つまり、それほどに、むかしからあったようなのです。
英國のチャールズ一世は、ラヴェンダーの薫りのする石鹸がお好きだった。このラヴェンダー・ソープは、「ヤードレー」製であったとの説があります。チャールズ一世は、1625年の即位ですから、よほど古くからあったということになります。
でも、よく知られているのは、ハーミナ・ヤードレーの話でしょう。
昔むかし、イングランド、サセックスに、ウイリアム・ヤードレーの娘に、ハーミナ・ヤードレーがいて。このハーミナ、まことにお美しくて。十八世紀のことであります。
ウイリアム・ヤードレーは、優れたバックル・メイカー。バックルのほかにも、剣や拍車などにも優れていた。
このハーミナ嬢が、ウイリアム・クリーヴァーに嫁ぐ。ウイリアム・クリーヴァーは、ソープ・メイカー。そこである時、新製品に「ヤードレー」の名前をつけた。この「ヤードレー」がたいそう有名になって、結局、「ヤードレー」が今なお続いていると伝えられています。
ヤードレーが出てくる小説に、『この日曜日』があります。1966年に、ホセ・ドノーソが発表した物語。

「ラックスで顔を洗いオドノーロをつけコルゲートで歯をみがきリステリンでうがいをしヤードレーで髪の毛をなでつける儀式……………………。」

これは物語の主人公の、毎朝の行事なのです。『この日曜日』には、こんな描写も出てきます。

「ボッチ?」
「ルイジ・ボッチよ」
「で、その洋服屋はどこにあるんですか?」
チェパは彼に住所を教えた。彼はそれを反復した。」

これはある洒落者の奥さんが、「彼」に、ご主人の贔屓の洋服屋を教えている場面。
ヤードレーを愛用するのは簡単ですが。人から洋服屋を聞かれるまでには、至っておりませんが。

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