ワーグナーと絹シャツ

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ワーグナーの音楽はいいものですよね。さて、ワーグナーで一曲を選ぶとすれば。人の好みもいろいろでしょうが。
たとえば、『トリスタンとイゾルデ』。これはもともと中世のお話なんだとか。起源はケルトではないか、と。
トリスタンは、騎士。イゾルデ ( イズーとも ) アイルランドの王女なんですね。見方を変えれば、貴賤婚の話でもあるわけで。この古い物語を基に仕上げたのが、ワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』。
初演は、1865年6月10日。ミュンヘンの「バイエルン宮廷歌劇場」で。もちろん、大成功。なぜワーグナーは『トリスタンとイゾルデ』を完成することができたのか。
ひとつには、バイエルン国王、ルードヴィッヒ二世の後援があったから。ルードヴィッヒ二世はワーグナーのファンだったんですね。
そして、もうひとつ。ちょうどその頃、ワーグナー自身にトリスタンにも似たロマンスが進行中だったから。つまり『トリスタンとイゾルデ』はワーグナーの物語でもあったのでしょう。
古典と言って良い『トリスタンとイゾルデ』を現代に置き換えると、どうなるのか。その実験をしたのが、ジョン・アップダイク。1994年に発表した『ブラジル』がそれなんですね。背景は現代のブラジルなんですが。主人公は、トリスタンとイゾルデ。トリスタンはなにを着ているのか。

「モーヴ色の袖にフランス風のカフスのついた流れるような絹シャツ。クリーム色のリネンのスラックス、房飾りのついた靴を選んだのだった。」

「フランス風のカフス」は、たぶんダブル・カフなんでしょう。いいなあ、絹のシャツに麻のズボン。
さて、ワーグナーを聴きに行くとしましょうか。

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