片眼鏡とカフ

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片眼鏡は、モノクルのことですよね。ふつうの眼鏡はレンズが二つあるので、「ビノクル」。片眼鏡はレンズがひとつしかないので、「モノクル」。十九世紀にはずいぶんと流行ったんだそうです。
永井荷風は、『見果てぬ夢』という随筆の中で、熱くダンディスムについて語っています。

「片眼鏡をかけ、嗅烟草をかぎながら貴族の宴席や…………………。」

ボオ・ブランメルのことをそんな風に描いています。
片眼鏡が出てくる小説に、『船出』があります。ヴァージニア・ウルフが、1915年に発表した物語。

「ヒューリング・エリオットは片眼鏡をしまい、話されている状況を摑んだ。」

また、『船出』には、こんな描写も出てきます。

「上等に仕立てられた服、糊の効いたシャツの胸、青い線で縁取られた袖口………………。」

これはレイチェルという女性が、リチャードという男性の装いを眺めている場面。
ヴァージニア・ウルフは当時の女性としては珍しく、ダンディズムに関心のあった人物。『ボオ・ブランメル』の著書もあるくらいに。
「ブルーのトリミングのあるカフ」。これはヴァージニア・ウルフがいつか、どこかで見た実際のことであったのでしょう。
片眼鏡は、「見果てぬ夢」として。「ブルーのトリミングのあるカフ」は、ぜひ一度着てみたいものですね。

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