シャンパンは、「泡」のことですよね。
シャンパンを毎日のように召しあがっているような通は、「泡」と呼ぶんだそうです。
たしかにフランスでは、「ヴァン・ムスー」と言いますからね。
シャンパンの魅力のひとつに、「泡」があるのも、その通りなのでしょう。
シャンパン・グラスから、まっすぐに立ち昇る泡の連続は、見ているだけで美しい。
あのシャンパンの泡には力がありまして。さくらんぼくらいなら軽く上に上昇させるんだとか。
その昔、シャンパンは輸送中によく割れることがあって。今のシャンパンの壜がふつうのワインより厚くなっているのは、そのためなんですね。
シャンパン通がよく口にする言葉が、「セック」。辛口。
日本酒で、「辛口」というのにも似ているでしょうか。なぜか辛口のシャンパンが好まれる傾向にあります。
でも、実際には甘口シャンパンも少なくはありません。
ロシアの作家、ヴィクトル・コペリーナチックが、2007年に発表した短篇に、『甘いシャンパンの味』があるように。
「パパがいないお正月や誕生日には、ママは甘いシャンパンを買ってきて僕にも飲ませてくれたの。」
これは男の子の科白として。
昔むかし、シャンパンがお好きだったお方に、オルレアン公がいます。またの名前を、フィリップ二世。
1715年から、1723年の間、フランス宮廷の君臨した人物。
フィリップ二世は、朝目が覚めると、まずシャンパン。一日中、シャンパン・グラスを手離すことがなかったという。
このフィリップ二世の甥が、ルイ十五世。ルイ十五世は宮廷にシャンパンを定着させたお方だと考えられています。
シャンパンが出てくる長篇に、『劇場』があります。
英国の作家、サマセット・モオムが1937年に発表した物語。
「まもなく車掌が、シャンペン一瓶とグラス二つをもつて、やつてきた。」
これは列車のコンパートメントの中で。
『劇場』には、こんな描写も出てきます。
「それにネクタイも少し派手すぎはするが、明らかにシャルヴェのものと見た。」
これはコンパートメントに乗合わせたイタリア貴族の着こなしとして。
「シャルヴェ」Charvet は、巴里の名店。ことにシャツが高く評価されている店ですね。
1838年、エドワール・シャルヴェが開いたシャツ専門店。シャツ生地の品揃えが豊富なことでも知られています。
どなたかシャルヴェに優るとも劣らないシャツを仮縫いつきで、仕立てて頂けませんg