俳句という歌がありますよね。もともとは「和歌」があったわけですから、「歌」というのも間違いないでしょう。
あるいはまた、「詩」だとするなら、世界の「最短詩」でもあります。「十七文字」というように、「五、七、五」の文字を使って世界を読み込む詩ですね。
「俳句」は明治になってからの言葉。江戸期には「俳諧」と言ったんだそうです。あの有名な松尾芭蕉は、「俳諧師」ということになります。俳諧の根本精神は、「滑稽味」だと言われています。五、七、五の中に、どこかに滑稽さを織り込むのも良しとされています。
滑稽味。そんな風に考えると、俳句がより身近かなものに思えてくるではありませんか。五、七、五で、季語があって,滑稽味があれば、もうそれは「俳句」なんでしょうね。もっとも上手になれば、「無季」というのもあります。また、「季重なり」といって,季語がふたつあるのは避ける、ということになっています。が、名人の句に例外的に、そんなのもありますが。
西東三鬼は、医者から俳人になった人。昭和八年に、ある患者に勧められたのが、はじまりなんだそうですね。西東三鬼が昭和十年に読んだ句に。
ほそき靴 貝殻を踏む 音とあゆむ
昭和十年ということは、まだ俳句をはじめて間もない頃で、やはり持って生まれた才があったのでしょう。
昭和十年ということは 1935年のことで。1935年にNYに生まれたのが、ロバート・リテル。ロバート・リテルが、1979年に発表したミステリに『迷いこんだスパイ』があります。この中に。
「色褪せたジーンズに喪章のついている古ぼけたアイゼンハウワー・ジャケットを着たカトゥーシカが電話で喋っていた。」
アイゼンハウワー・ジャケットはもともと略装軍服のこと。実際に、第二次大戦中のアメリカ軍に採用されています。前開は、比翼仕立て。極端なショート・レングス。本来、一兵卒が着る制服を、アイゼンハウワー元帥が愛用したので、その名前があります。ただし、実際には「アイク・ジャケット」の愛称で呼ばれたものですが。
今、もし、デニム などで復活したなら。ぜひ、着てみたいものです。