りんごは、アップルのことですよね。「りんごが赤くなると医者が青くなる」の言い方があります。まあ、それくらい健康に良い果物なんでしょう。
りんごで有名なものに、「ニュートンのりんご」があります。アイザック・ニュートンは万有引力の発見者。それはニュートンが庭のりんごの落ちるのを見て、ということになっています。
では、ほんとうにニュートンはりんごの落ちるのを見て、引力を発見したのか。これは専門家の間でも最終的には結論が出ていないんだそうですが。
そもそも、「ニュートンのりんご」は誰が言いはじめたのか。ヴォルテールなんですね。フランスの哲学者、ヴォルテールが、1727年の随筆の中で。ニュートンの姪、コンデュイエット夫人からの話として。
これとは別に、ウイリアム・ストュークリの話があります。ストリュークリも科学者で、ニュートンの年下の友人だった人物。
1726年4月15日。ストリュークリはニュートンの自宅に招かれて昼食を。ニュートンの、ケンジントンの自宅の庭で。
たまたま気持良い天気だったので。ニュートンのケンジントンの庭には、りんごの木があって。そこで83歳のニュートンは語りはじめた。
「そうそう、ちょうどこんな日和だったよ。りんごが落ちてきてね。それで、引力に思い至ったのじゃよ。」
ニュートン自身が「りんごと引力」の話をしたのは、事実でしょう。でも、ニュートンが引力に気づいたのは、ウルスソープの生家において。ウルスソープの自宅にりんごの木あったのか、どうかは疑問。
要するにこの話は、なんでもない、ふだんの様子をいかに注意深く観察するか、という教えに重きが置かれるべきなんでしょう。
りんごが出てくるミステリに、『狐たちの夜』があります。ジャック・ヒギンズが、1986年に。発表した物語。
「どんな樽でも、腐ったりんごが必ず混じっているものなのよ、セアラ。」
これは、ヘレン・ド・ヴィルの科白。時代背景は、第二次大戦中に置かれています。また、『狐たちの夜』には、こんな描写も出てきます。
「ロベール・サヴァリイはあごひげを生やした大きな男で、リーファー・コートに布製の帽子をかぶり………………………」。
ここでの「リーファー・コート」は、今、私たちが想起するピー・ジャケットに似たものだったと、思われます。
リーファーを着て、りんごをかじり、なにか思い浮かばないものでしょうかねえ。