フランネルとフラップ・ポケット

フランネルは、フラノのことですよね。
英語のフランネルを短くした日本語が、フラノ。
フランネルから生まれた日本語がもうひとつあって、「ネル」。
「綿ネル」というではありませんか。
綿ネルの英語は、「フラネレット」なのですが。
綿ネルは珈琲とも関係があるでしょう。
ドリップ式で珈琲を淹れる時、綿ネルを使うことがありますね。
世の珈琲通のなかには、ネルで濾した珈琲こそ最上の味である。そんなふうに考えている人が少なくありません。
その昔、英国のイートン校には、「フランネルを貰う」の言い方があったという。
「トゥ・ビ・アワーデッド・ヒズ・フランネル」
これは実際には、ボートレースの選手になる、の意味だったとのこと。
ボートレースの正選手は常に白のフランネルの上着を着たことによるものでしょう。

「香水をつけて横にかいたる散髪。真赤なフランネルのチャツへ紙の襟を懸、白のめりやすの下ばき、」

明治六年に、高畠藍泉が発表した『怪化百物語』に、そのような一節が出てきます。
ここでの「怪化」が当時の流行語「開化」にかけてのことであるのは、言うまでもありません。
高畠藍泉はこの中に「チャツ」と書いているのですが、これは「シャツ」のことかと思われます。
また「散髪」と書いて「ザンギリ」のルビを添えているのですが。
フランネルが出てくる小説に、『デイヴィッド・コパーフィールド』があります。もちろん、チャールズ・ディケンズの長篇。

「たくさんの小瓶やスポンジ、クシにブラシ、フランネルの端布に小さなカール・アイロン一式。」

これは携帯用品の一式として。
チャールズ・ディケンズの短篇に、『旅商人の話』がある
のは、ご存じでしょう。この中に。

「ダマスク織のクッションは古めかしい垂れぶた付きポケットのあるチョッキになり、」

ここでの「垂れぶた付きのポケット」」は、フラップ・ポケットのことでしょう。
ウエイストコートの場合、ポケットにフラップを付けないこともあります。
が、この場合には、クラシックなフラップ付きということなのでしょう。
どなたかフラップ・ポケットのあるウエイストコートを仕立てて頂けませんでしょうか。