シャワーとシルム・ミュッツエ

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シャワーは、室内の噴水のことですよね。上から適温の噴水が落ちてくるので、これで身体を洗うわけであります。
風呂好きもいれば、シャワー好きもいます。ことに夏などは、シャワーの方が快適というむきもあるでしょう。
日本人ではじめてシャワーを使ったのは、どなたか。さあ。
成島柳北なども、そのひとりではないかと思うのですが。
成島柳北は、1837年に、東京の浅草に生まれています。明治はじめの文人。また、1872年には、ヨオロッパに旅してもいるのです。
その時の旅の記録が、『航西日乗』であるのは、いうまでもありません。
明治五年九月十三日、横濱港を出発しています。同じ年の十月二十八日に、マルセイユ着。マルセイユから巴里に着いたのが、十月三十日。明治六年四月末まで、巴里に滞在しています。

「………此日池田氏ニ誘ハレ始メテ市中ノ浴室ニ赴ク 価一フランク ナリ………」

成島柳北は、十一月四日の『日乗』に、そのように書いてあります。たぶん、この時にもシャワーを体験しているのではないでしょうか。

シャワーが出てくる小説に、『アメリカ』があります。1913年にカフカが書いた長篇。ただし、未完に終っているのですが。
これは十六歳の、カール・ロスマンが訳あってアメリカに行く内容になっています。

「着換えをしなけりゃ、シャワーも浴びなきゃ、その二人を外に出して………」

これは「ブルネルダ」の言葉として。
フランツ・カフカの『アメリカ』を読んでおりますと、こんな場面も出てきます。

「………それは彼がアメリカでは一般に縁のある帽子よりハンティングをかぶることを知っており、アメリカ到着以前にもうかぶり古すことのないようにしたいと思っていたからである。」

ここでの「彼」が、カール・ロスマンであるのは、いうまでもないでしょう。
これはカールが、アメリカまでの船旅の間、「ハンティング」をかぶらなかった理由として。
ハンティング。鳥打帽。もし、ドイツ語なら、「シルム・ミュッツエ」shirm mütze でしょうか。シルムは、「前庇」。ミュッツエは、「帽子」。前庇のある帽子。
どなたかドイツふうのハンティングを作って頂けませんでしょうか。

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