北京とペイズリー

北京は、ベイジンのことですよね。
中国の都であります。
中国では北京と書いて「ベイジン」と訓みます。
北京料理の言葉があるように、北京にも美味しいものがたくさんあります。
有名なものに、北京ダックがあるでしょう。
食用アヒルの皮を焼いて、薄い餅に包んで食べる料理のこと。
中国の希書『金梅瓶』にも北京ダックが出てくるそうですから、古い料理なのでしょうね。
『金梅瓶』は、十六世紀の古書。
北京ダックは、仔豚の丸焼きにヒントを得た料理とも言われているようですが。
北京ダックとくれば、やはり老酒が欲しくなってくるのも当然でしょう。
北京ダックを食べて、老酒を飲む。身体が温まること、間違いなし。
北京ダックはなにも食べるだけではありません。
アヒルの羽根はよく羽根蒲団にも。また、より上質の羽毛は、ダウン・ジャケットなどにも。
北国で生まれ育ったアヒルの毛は、防寒性が高いので。
北京が出てくるミステリに、『殺戮のオデッセイ』があります。
1986年に、ロバート・ラドラムズが発表した物語。

「彼は北京で崇拝されているんですよ。」

ここでの「彼」は、沈 周揚(ション・ヨウヤク)という人物についてのこと。
『殺戮のオデッセイ』は、中国が背景なので、北京が出てくるのも当然でしょう。
また、『殺戮のオデッセイ』には、こんな描写も出てきます。

「ピンストライプのスーツに白いシャツ、ペイズリー柄のネクタイという服装だった。」

これはある要人の着こなしについて。
「ペイズリー」Paisley は、もともとスコットランドの地名。
この地で、カシミア・ショールの機械織りに成功したので。
十九世紀までのカシミア・ショールは今の自動車一台分くらいの値段で、庶民には手がとどかなかった。
それがペイズリーでの機械織りカシミア・ショールは、十分の一ほどの値段に。
カシミア・ショールには、ペイズリー柄が多かったので、今に「ペイズリー」の名前が遺っているわけですね。
どなたかペイズリー柄の、絹の上着を仕立てて頂けませんでしょうか。