木馬は、玩具のひとつですよね。
木で作ってあるので、木馬。
木馬の歴史も古いのでしょう。
「トロイの木馬」の言い方もあるように。
あれは古代ギリシア時代の話ですから。
イギリスの作家、サマセット・モオムの長篇に、
『回転木馬』があります。1905年の発表。
直接に回転木馬が出てくるわけではありません。
「人生は回転木馬」。そんなモオムの呟きが聞こえてきそうな内容になっています。
「丁々発止の遣り取りを学ぶのにパブほどお誂えのところはあるまい。」
モオムの『回転木馬』には、そんな文章も出てきます。
うーん、そうなのかも知れませんね。
同じく英国の作家、D・H・ロレンスの短篇には、
『木馬の勝者』があります。1926年の発表。
「少年は自分の大き揺り木馬に跳って狂ったように、妹たちが不安げにじっと見つめずにはおれないほど熱中して、虚空へと疾走していた。」
ここでの「少年」は、ポールと設定されているのですが。
ポールには霊感があったのかどうか。ある時の競馬で、
一万ポンドを儲ける話も出てきます。
江戸川乱歩の作品に、『木馬は廻る』があるのは、ご存じの通り。
『木馬は廻る』は、探偵小説ではなく、随筆なのですが。
当時、浅草に「木馬館」があって、その想い出が中心になっています。
大正十五年は、西暦の1926年。
同じ年に乱歩は『木馬は廻る』を書き、ロレンスは『木馬の勝者』を書いているのですね。
木馬が出てくる小説に、『バーチェスターの搭』があります。
1857年に、英国の作家、アントニー・トロロープが発表した物語。
「ええと、手数料が百ポンドかそこらで、残りは木馬でもらいました。」
これは「バーティ」の言葉として。
また、『バーチェスターの搭』には、こんな描写も出てきます。
「けばけばしい黄褐色の見かけだけのモリーンよりも、はるかに好ましいと思った。」
モリーンmoreen 古くからの英国のウール生地。
1691年頃からの英語なんだそうです。
生地の表面に、模様をあしらってあるのが、特徴。
どなたかモリーンを再現して頂けませんでしょうか。