ダスターは、「二つ」の意味ですよね。
double と書いて「ダブル」と訓みます。
それは「二倍」でもあり、「二重」とも解釈できるでしょう。
たとえば、「ダブルの上着」だとか。
正しくは、「ダブル・ブレステッド」というのですが。
上着の前身が二重になっているので、ダブル。
ズボンの裾口にも、「ダブル」が。カフのことですね。
また、シャツの袖口にもダブルがあるのは、ご存じの通り。
野球には「ダブル・プレイ」があります。演劇の世界には、「ダブル・キャスト」が。「一人二役」とでもいえば良いのでしょうか。
「彼はそれからパチンコをして、三百円でピースを一つ取り、誰かに連れてゆかれたことのあるバーを二軒まわり、水割りをダブルで十杯ぐらい飲んだ。」
丸谷才一が昭和四十一年に発表した小説『笹まくら』に、そのような一節が出てきます。
これは物語の主人公「浜田」のその日の行動として。
なるほどバアにも「ダブル」がありますね。
ダブルが出てくる長篇小説に、『東京の人』があります。
川端康成が、昭和三十に書いた新聞小説。五百五回の連載ですから、長篇になるのも、当然でしょう。
「ダブル………? 僕がダブルを着るの? 」
これは「小出」が「朝子」に、洋服屋で上着を薦められている場面。
生地は舶来で、これから注文するところ。
うーん、たしかに迷うところですが。
川端康成は『東京の人』の原稿を多く「東京ステイション・ホテル」に籠って書いたという。
『東京の人』には、当時の最新の風俗も描かれているのは、そのためでもあるのでしょうか。
川端康成の『東京の人』を読んでおりますと。
「朝子は間もなく、黒白の縞のダスタア・コオトに黒い小さなベレエ帽子を頭にのせて、二階にあがつて来た。」
ダスター・コート。流行りましたね。男女の別なく。
ダスター・コートは日本語。英語では「ダスター」もしくは「ダスト・コート」と言います。
どなたか無地のダスターを仕立てて頂けませんでしょうか。