チョコとチェルシー・ブーツ

チョコは、チョコレエトのことですよね。
「チョコレエト」と皆まで言わなくても「チョコ」だけで充分伝えられるものです。
チョコをはじめて口にした日本人は誰なのか。
さあ。でも、明治の日本にすでにチョコレエトがあったのは、間違いありません。
明治十一年『郵便報知新聞』十一月十二日付けの広告に、チョコレエトが出ています。
当時の「米津凮月堂」が宣伝を出していますから。
チョコの原料がカカオであるのは、言うまでもありません。
「カカオ豆」の言い方があるように、もとの形は豆に似ています。
植物の実なんですね。
カカオは、アオギリ科の植物。赤道直下の国でないと育てることができません。
たとえばアフリカのコートジボソールだとか。ガーナだとか。
カカオは、時期になると、青い果実をつける。これを「カカオ・ポッド」と呼びます。このカカオ・ポッドの中に、実としてのカカオが入っているのです。
日本に輸入されるカカオの多くは、ガーナ産とのことであります。

「彼は椅子の上に軽く身軆を揺すりながら、チョコレートの菓子とコニヤツクの杯を両手に取つて、一方をかじり一方を啜つた。」

大正十二年に、豊島與志雄が発表した小説『野ざらし』に、そんな一節が出てきます。
これは「佐伯昌作」という男の様子として。
佐伯昌作は、喫茶店「柳容堂」で寛いでいる場面。
たしかにチョコとコニャックはよく合いますからね。

「そしてね、お菓子を少しね、板チョコ五枚送つてくれつて書いて下さい。」

昭和十年に、作家の田畑修一郎が書いた『南方』にも「チョコ」と出ています。
これは「民さん」が、僕に手紙を書いてもらっている場面なんですが。
チョコレエトが出てくる小説に、『黒い犬』があります。
1992年に、英国の作家、イアン・マキュアーンが発表した物語。

「ブラジル産のコーヒー、高級チョコレート五、六枚のほかに、私のノートが入っていた。」

これは「ジェーン」のために「私」が買ってきた品々の説明として。
『黒い犬』には、こんな描写も出てきます。

「チェルシー・ブーツをはいて、摺り足で歩く少年、蒼白い顔が照し出される。」

これは「ジェレミー」という少年の姿なんですね。

「チェルシー・ブーツ」chelsea boots は、1960年頃のロンドンに生まれています。
1963年『タイムズ』2月25日号にも、チェルシー・ブーツの説明が出ています。
どなたか1960年代のチェルシー・ブーツを作って頂けませんでしょうか。