ポオで、ミステリでということなら、エドガー・アラン・ポオですよね。
今も、「ミステリは1841年にはじまる」とは、通説になっています。1841年とは、ポオの『モルグ街の殺人』が書かれた年。
フランスのモーリス・ルブランが「アルセーヌ・ルパン」を登場させたのは、1905年のこと。なぜ、怪盗の名前を「ルパン」にしたのか。
『モルグ街の殺人』の名探偵、「デュパン」となにか関係はなかったでしょうか。第一、オーギュスト・デュパンはフランス、パリに住んでいるという設定なんですね。
一方、英国のコナン・ドイルが「シャーロック・ホームズ」を書くのは、1886年のこと。もちろん、『緋色の研究』。出版されたのが、1887年。コナン・ドイルは『緋色の研究』の中で、「オーギュスト・デュパン」について大いに語っています。いや、そればかりか。コナン・ドイルは、「ポオは探偵小説の父」と、明言してもいます。
小説の中でのオーギュスト・デュパンは、昼間扉閉じて、夜の世界で瞑想にふけったと、あります。江戸川乱歩は土蔵が好きで、土蔵を真っ暗にして、その中で探偵小説を書いたそうです。
モーリス・ルブラン。コナン・ドイル。江戸川乱歩。三者三様、エドガー・アラン・ポオの影響を受けているのかも知れません。が、ポオの本業はむしろ詩人であった。その代表さくが、『大鴉』。1845年の作。名詩中の名詩。
『大鴉の啼く冬』を書いたのが、アン・クリーヴス。2006年のことですね。この中に。
「かの有名なフェア島の編み物はこの遭難からはじまった、と主張するものもいた。」
「この遭難」とは、スペインの無敵艦隊が、フェア島に漂着したことを指しているわけです。「フェア島の編み物」の横には、「フェアアイル・ニット」のルビが振ってあります。これをはじめとして『大鴉の啼く冬』には、フェアアイル・ニットの伝説が詳しく書かれています。『大鴉の啼く冬』は、フェアアイルがその背景となっているからなのです。