ターポリンとダック

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ターポリンは、防水帽のことですよね。船員が嵐の時などにかぶる鍔広の帽子。tarpaulin と書いて「ターポリン」と訓みます。
「タープ」tarp
とも無関係ではありません。野外で雨風を防ぐ張布を「タープ」というではありませんか。そんなわけで「ターポリン」は、防水帽のことなのです。
ターポリンが出てくる小説に、『ホノルル』があります。モオムが、1921年に発表した短篇。

「………テニス用のラケットから防水帽にいたるまで、上流階級の者が買いたいと思うものは何でござれすべて取揃えてあった。」

これはホノルルの用品店について。ここでの「防水帽」は原文では、「ターポリン」になっています。

昭和二十五年にホノルルを旅した作家に、今 日出海がいます。その時の紀行文は、随筆『ハワイ雑感』に収められています。

「例の誰でも着ているアロハ・シャツだが、これに日本製の布地がもてはやされている。女の長襦袢の模様が殊に歓迎されているようだ。」

もう一度、モオムの『ホノルル』に戻りましょう。

「………彼としてもスマートなダック製の服で颯爽としたところを見せたかった。」

ここに「彼」とあるのは、「バトラー船長」を指しているのですが。

原文では、「スマート・ダック・スーツ」となっています。
「ダック」d uck は「ズック地」のことです。英語では、1640年頃から用いられている言葉なんだとか。
その昔、織元が生地の端にマークとして、アヒルの模様を刷り込んだ。ここから「ダック」の呼び方がはじまったという。
どなたか純白のダックでスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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