シーソーは、遊戯のひとつですよね。ギッコンバッタンのことであります。see sawと書いて、「シーソー」。
また、同じものを、「ティーター トッター」teeter totter とも言うんだそうですね。子どもの頃、よくシーソーで遊んだものです。
シーソーが出てくる小説に、『波』があります。山本有三が、昭和三年に発表した物語。
「香取浦を加藤洲に切れるあたりは、船はシーソーのようにはげしく揺れた。」
これは霞ヶ浦から、鹿島に詣でるための船旅の途中。
山本有三は、明治二十年七月二十七日に、栃木に生まれています。その時の名前は、勇造。「山本有三」は、ペンネイムだったのですね。
昭和二十八年に、山本有三は湯河原に家を建てています。それまでの三鷹のご自宅は、東京都に寄付したという。
昭和二十九年に、湯河原の山本有三宅を訪問した編集者に、福田清人がいます。福田清人は随筆『山本さんの方影』に、こんな話を書いているのですが。
「温泉が出ている。さあ、それで汗を流して、浴衣に着がえて、ゆっくりし給え。」
家に着くそうそう、山本有三はそんなふうに言ったんだそうですね。
シーソーが出てくる小説に、『九十三年』があります。フランスの作家、ヴィクトル・ユゴーが、1872年に完成させた物語。『九十三年』とは、1793年を意味しています。つまり、フランスの革命期を描いた歴史小説なのです。
「ゴーヴァンのからだはあのシーソーのような板の上に横たえられ、美しい気品のあるあの頭は………」
また、『九十三年』には、こんな描写も出てきます。
「買った当時はまっ白だったろうと思われる繻子のチョッキを着け………」
これは、「マラー」の着こなしとして。
ロベスピエールと、ダントンと、マラーが密談している場面を、ユゴーはそんなふうに書いています。
「繻子のチョッキ」。フランスなら、「ジレ」giret でしょうか。
どなたか純白のサテンのジレを仕立てて頂けませんでしょうか。