バッハとリネン

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バッハとヘンデルは、同い年なんですってね。バッハは、1685年3月21日の生まれ。ドイツ、アイゼナハで。
ヘンデルは、1685年2月23日、ハレで。もちろん、ヨハン・セバスティアン・バッハと、ゲオルク・フレドリック・ヘンデルのことなんですが。
ひと月ほど、ヘンデルがお兄さんということになるんでしょうか。ヘンデルとバッハ、ふたりは会ったことがあるのかどうか。
ヘンデルはバッハの才能を認め、バッハはヘンデルを尊敬していた。周りの音楽好きも、「一度ヘンデルとバッハを、聴き較べてみたい」と、思っていた。
1719の初夏。ヘンデルはロンドンから故郷のハレに戻る。久しぶりにお母さんの顔を見るために。バッハは喜んだ。ヘンデルに会える、と。バッハの住んでいるケーテンからハレはそんなに離れていない。で、バッハはハレへ。と、ヘンデルは昨日ロンドンに向けて発ったばかり。残念。
ヘンデルが二回目にハレに帰ったのは、1730年代末のこと。この時もバッハはヘンデルに会いたかった。でも、健康が優れないので、長男の、ウイルヘルムにヘンデルを迎えに行かせる。が、ヘンデルの都合がつかなくて。
ヘンデルが三回目に帰郷したのは、1752年ころ。この時、ヘンデルはバッハに会おうと。しかし。バッハはひと足先に天国に行っていたのです。
結局、バッハとヘンデルは一度も顔を合わすことなく終わっているんですね。
バッハが出てくるミステリに、『ヴァイオリン職人の探求と推理』が。ポール・アダムが、2004に発表した物語。

「先生が言うには、バッハを弾くと頭がすっきりして、体によいホルモンが分泌されて……」

うーん。そんなこともあるんでしょうね。また、こんな描写も。

「背が高く、やせていて、白いリネンのジャケットを着ており、ミラノのセラフィのオフィスで会ったイギリス人だとわかった。」

さて、リネンのジャケットを着て。バッハを聴きに行くとしましょうか。

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