弁慶とホームスパン

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弁慶は、伝説的な人物ですよね。武蔵坊弁慶。源 義経の家臣であります。
弁慶はあまりにも有名なので。たくさんの言葉遊びにも出てきます。いちばん知られているのは、「弁慶がな………」。
昔は今と違って、句読点をあまり用いなかった。「弁慶がなぎなたを………」とあった場合。「弁慶がな、ぎなたを………」では、なんのことだか分からない。だから、どこで区切りのかは、大切ですよ、と。
「弁慶の勧進帳とかけて………」。これは掛け言葉のひとつ。正解は、「よく写る鏡と解く」。その心は。「冨樫たばかり」。冨樫と、磨がしをかけているわけですね。
弁慶はある時、太刀千振に願をかけた。千本の刀を蒐めようと。奪った刀は、九百九十九本。これは樋口烏丸御堂の天井裏に隠しておいて。さて、千本目。目をつけたのが、源 義経の太刀。なぜならそれは金造りの太刀だったから。京の五条の橋の上………。これは歌にもある通り。義経に敗れて、以来、家来になったという。
歌舞伎の「弁慶」で名優と謳われたのが、四代目河原崎長十郎。「長十郎が弁慶か、弁慶が長十郎か」と言われたほどの名演だったそうですね。この四代目河原崎長十郎となぜか気が合ったのが、宮本百合子。
宮本百合子は、明治三十二年の生まれ。旧姓は、中條ユリ。昭和七年に、宮本顕治と結婚してからは、宮本百合子に。宮本百合子が1924年に、発表したのが、『伸子』。これは若き日の宮本百合子自身をモデルとした創作であります。

「ホームスパンの服を着た、淺黑い瘠せた男が左手に綴込みを持ち…………」。

物語の背景は、当時の、ニューヨークになっています。
ホームスパンは、トゥイードの似た紡毛地。トゥイードが綾織であるのに対して、平織。トゥイードはホームスパンの発展した織り方だと考えられているのですが。いずれにしても、野趣に富んだ生地であるのは、間違いありません。

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