スモークト・サーモンとステッキ

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スモークト・サーモンは、美味しいものですよね。白ワインにもよく合いますし。
スモークト・サーモンなのか、スモークド・サーモンなのか。さあ。たぶん「ト」と「ド」の間くらいの音なんでしょうか。
黒パンの間にスモークト・サーモンを挟んで、サンドウイッチに仕上げるのも、豪勢なものであります。
サーモンがお好きだったお方に、高峰秀子が。高峰秀子は、北海道のお生まれですから、当然のことかも知れませんが。高峰秀子のお母さんはいつも。
「鮭はありがたい魚だねえ」
これが口ぐせだったそうです。鮭もまた、ほとんど捨てるところのない、魚でもありますからね。
北海道で、鮭でといえば、ルイベ。半凍り状態とでもいえばよいのでしょうか。半分、凍っている生鮭を、まるで刺身でもあるかのようにして、頂く。まあ、サーモンにもいろんな食べ方があるということなのでしょう。
高峰秀子のお得意料理のひとつに、「鮭の炒り煮」。鮭の身を解して、炒る。少し炒りかけたところで、溶いた卵黄を加えるのが、みそなんだとか。
スモークト・サーモンがお好きだったのが、小沼 丹。小沼 丹が倫敦から日本に帰ると、皆が倫敦の何が良かったかと、問う。小沼 丹は答える。

「良かったのは閑静な住宅街と二階バスとパブとスモオクド・サアモン………………」。

小沼 丹の随筆『ロンドンの記憶』に出ている話なんですが。小沼 丹はまた『ステッキ』と題する随筆を書いていて。

「井伏さんは僕を見て憫笑して、出来上がつた寒竹のステッキを一本くださつた。」

そのむかし、小林秀雄は、志賀直哉からステッキを貰って、大切にした。井伏鱒二は、今日出海から籐のステッキを頂いた。
小沼 丹が、井伏鱒二から頂戴した寒竹のステッキには、銘が彫ってあって。
「弄花香満衣」
小沼 丹はこの銘に、朱をさした。

「なかなか趣があつて悪くなかつた。」

と、書いています。
この小沼 丹の随筆を読んでいると、ステッキはただ手に持つだけでなく、贈物にも最適だと思われてきます。

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