Tシャツとティファニー

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Tシャツは、身近なファッションですよね。シャツを拡げた形が「T」の字に似ているので、Tシャツ。もちろん、アメリカでこそ生まれたシャツであります。
Tシャツに似ているものに、「I シャツ」が。「I」の字なので、「I シャツ」。つまりは、袖無しのシャツのことですね。
アメリカには「Aカラー」の呼び方があります。日本でいうところのレギュラー・カラーに似たシャツの襟型。シャツの襟先が「A」の字に似ているから。
女性のほうでは、「Aライン」。裾拡がりのドレスのシルエットを指して、「Aライン」と呼ぶことがあります。アルファベットもいろんなところで役立ってくれているようですね。
Tシャツが出てくる随筆に、『ニューヨーク空間』があります。1996年に、有吉玉青が書いた随筆集。

「名前を聞いて適当に漢字をあててTシャツにカリグラフィーする店や…………………。」

これはNYでの、「日本祭り」の様子。いろんな屋台が出ているうちのひとつ。
有吉玉青は、1991年からしばらくの間、NYで暮らし、その記録ともいえるものです。
有吉玉青のお母さんが、有吉佐和子であるのは、いうまでもないでしょう。有吉佐和子は、才女の中の才女。
「私は一日の中で、八時間本を読み、八時間小説を書きます」。
そう言ったことがあり。この有吉佐和子と親交があったのが、阿川弘之。

「あなた、運転下手ねえ。石原慎太郎はもつとうまいわよ。」

阿川弘之の随筆、『有吉佐和子 ーー 不世出 ーー 』の一節にそのように、出ています。
むかし、ハワイで阿川弘之が、有吉親子を車に乗せた時の話。
有吉佐和子は、阿川弘之の運転について、言いたい放題。親の真似して娘までが。
「小父ちゃん、運転下手ねえ。キューッと止まらないで。危ないから」
そもそもは、有吉佐和子が自分の家もよくわかっていない。それを強引に、阿川に車で送らせて途中。阿川弘之はさすがに。
「しつけの悪いガキだ。」
このひと言で、お嬢は、泣きだして。そのお嬢が有吉玉青であるのは、申すまでもないでしょう。
というわけで、もう一度、有吉玉青著『ニューヨーク空間』に戻ります。

「その燦然と光を放ったものの正体は、小さなダイヤモンドであった。」

有吉玉青は、NY五番街を歩いていて、ふっと目を射るものが。それが、「ティファニー」のウインドーのダイヤモンドだった話。
ティファニーでひとつ、極上の絹糸で、Tシャツを作ってはくれませんかね。

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