Brusque House ブラスクハウス OPEN

ウインザー公は、紳士服飾の20世紀のスタイルやトレンドに大きな影響と功績を残した。それは21世紀の現代でも、燦然と輝き続けている。そんなウインザー公へのオマージュも込めて、選びぬいた情報や製品をセレクトしてお伝えします。

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近年、様々な美意識を標榜したレザープロダクトが注目され、中でも男性用ドレスシューズは盛り上がりを見せている。そんなドレスシューズが魅力の、プライベートサロンが、2016年4月、銀座にオープンした、その名は「Brusque House ブラスクハウス」。

①ブラスクハウスの店舗内部
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◆高級既成靴から芸術的なドレスシューズへ

②ブラスクハウスのドレスシューズ
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紳士革靴と言う概念には、ビジネスシューズを主流としたスーツやジャケットの足元に履く靴が一般的だが、1990年代からは高級既製靴と言われる、伝統的で高級なブランド靴が注目されるように。それはエドワード・グリーン、ジョン・ロブ、ジェイエム ウエストン、オールデン、チャーチと言った靴ブランドに代表される。さらに、2000年以降これらのブランドに刺激を受けた国内外のセレクトショップや靴店舗が、まだ珍しかった美意識の高い芸術的なドレスシューズを取り扱い始める。特に有名になったのは、シルバノ・ラッタンツィ、ピエール・コルテ、ステファノ・ブランキーニ、ベルルッティなどが、それにあたる。ブラスクハウスは、こうした伝統的ブランド靴から芸術的なドレスシューズの変遷の中で培われたノウハウを踏襲しつつ誕生した。したがって、現在最も新しい美意識を標榜した、品揃えのレザープロダクト及び靴のサロンと言えるだろう。

◆ドレスシューズの変遷

③1928年の広告
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④1932年の広告
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ドレスシューズの原型は写真③④でも理解出来るように、既に1920年代後半には、ほぼ完成されたとすれば、後の1930年代には洗練されたシェイプフォルムへと変遷したと考えられる。また、英国起源のスタイルが基本となり、アメリカ、フランス、イタリア等で時間をかけて進化発展した。また、別の状況ではビスポークと呼ばれる、中でも個人的な趣味嗜好で作られたオーダーメイド靴は、後の高級既成靴のデザインやフォルムに大きな影響を与え、ここ30年程でドレスシューズ市場へ変化をもたらした。

◆ブラスクハウス オリジナル、エレガントなドレスシューズ

⑤パンチドキャップ オックスフォード
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⑥2タイ ダービーシュー
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それでは、ブラスクハウスの新たに創造されたオリジナルモデルの一部を見てみよう。
先ず写真の2つのモデルだが、単なる英国起源やフランス、イタリアでのトレンド的なデザインの影響とは異なり、むしろ独自の様式美を表現している。
写真⑤の、パンチドキャップ オックスフォード(パンチングキャップ付きの内羽根ストレートチップ)では、毛足の短い高品質な茶系のスウェード素材を使用し、レースステイ部の紐穴が、フレアーと呼ばれる爪先方向に広がる仕様に。実は同モデルの通常の場合は、カーフ等のスムースレザーを採用する事が多いが、ここはあえてスウェード素材を、そして、靴紐を結んだ時の結び目のバランスを考慮したフレアー型のアイレット位置は実に絶妙だ。

写真⑥の、2タイ ダービーシューズ(外羽根の紐靴)も、やはりアッパー(靴上部)にはブラックスウェード、さらにレースステイから後方周辺にかけてはクロコダイルを使い、その切り替えし前方部の微細なパンチング装飾のバランス感覚も素晴らしい。つまり、一見して同色のコンビネーションの作りだが、贅沢なクロコダイルを使用しながらも、控えめな仕上がりを実現している。

◆究極のスタンダードモデル

⑦エンツォ・ボナフェのストレートキャップ
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⑧ローマの幻の名靴であるGATTO roma(ガットローマ)のストレートキャップ
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次に、注目したいのはストレートキャップ オックスフォード(一般的にはストレートチップ)と呼ばれるモデル。同モデルは究極のスタンダードモデルで、通常のスーツから冠婚葬祭にも着用出来るドレスシューズの基本的モデルでもある。しかも、最もプレーンなスタイルなだけに微妙なフォルムが気になるところだ。

写真⑦のエンツォ・ボナフェのモデルは全体に鋭角的で土踏まず部が引き締まっているが、写真⑧のガット ローマのモデルは緩やかな曲面の全体フォルムが特徴とも言える。これらのセレクトは顧客の足型や好みを最大限に反映していると思われる。

◆プライベートサロン

⑨BARを備えたカウンターテーブル
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上質な製品購入には、ある程度のコミュニケーションが必要。これこそがブラスクハウスの大きな特徴で、高額な宝飾や時計を買うような顧客も想定している。したがって、靴だけに特化した顧客だけではなく、ライフスタイル全般での上質な趣味性や文化を踏まえた顧客が対象となる。現代の複雑でスピード感のある時代の中で、このプライベートサロンとしての店舗形態は、斬新で近未来的とも言えるだろう。BARカウンターを備えたサロンでは、永年に渡る高級時計や宝飾に関わる創業者の河合利典さんと、レザープロダクトのスペシャリストでありアーティスティック ディレクター佐藤哲也さんの、知識豊富なお話を伺いながら究極のドレスシューズを始めとしたレザープロダクトの逸品を見つける事が出来る。正に嬉しい限りではないだろうか。

最後になりますがブラスクハウスでは、ドレスシューズ以外にも、スポーツシューズとドレスシューズの中間派の靴、色鮮やかなスリッポンのコレクション、クロコダイル仕様のコートシューズ(テニスシューズ タイプ)、しなやかな高級レザーのマウンテンブーツ、そしてバッグ類でもジップ仕様のドキュメントケース、トートバッグ、特殊なカーボンファイバーのアタッシェケース等、数々の逸品がギャラリーのように展示されている。銀座の一角に隠れ家のように存在するプライベートサロンは、今後の展開が楽しみな限りである。

Brusque House(ブラスクハウス)
中央区銀座7丁目5-19 龍楼閣ビルB1
営業:月~土曜13:00~21:00 日曜・祝日12:00~20:00(火曜定休)
TEL:03-5537-7050
HP:www.brusquehouse.com

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