ベニスとダッフル

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ベニスとはじまる映画に、『ベニスに死す』がありますよね。ルキノ・ヴィスコンティの、名作。
映画、『ベニスに死す』はトーマス・マンの小説『ヴェニスに死す』を原作としているのは、言うまでもないでしょう。どうでもいいようなことですが。小説の題は、『ヴェニスに死す』。映画の題は、『ベニスに死す』。
一説に、グスタフ・マーラーにヒントを得た小説とも言われています。が、トーマス・マンもヴェニスを実際に旅しています。だいたい物語の背景は、1890年代のことと思われます。
監督の、ルキノ・ヴィスコンティは名代の凝り屋として知られています。その凝り屋が映画衣裳として依頼したのが、ピエロ・トージ。ピエロ・トージは1890年代の生地を探すのに夢中だったそうです。
主演は、ダーク・ボガート。ダーク・ボガートの着こなし。映画衣裳としても、『ベニスに死す』は、かなり高得点を得るのではないでしょうか。そしてピエロ・トージはもっと評価されてよいはずです。
トーマス・マンが1924年に発表したのが、『魔の山』。これもマンがほんとうに体験した話が下敷きになっています。マンはどんなことからも創作を生む魔法の指先を持っていたのでしょう。
1924年1月15日に生まれたのが、マイクル・コリンズ。マイクル・コリンズが1968年に発表したのが、『ひきがえるの夜』。この中に。

「夜間の冷え込みにそなえてダッフル・コートを着て………」

もちろん、探偵のダン・フォーチューンの様子なんですね。
「ダッフル」 duffel は、生地の名前。この上なく、厚く、丈夫なウール地。その生地で仕上げたコートなので、「ダッフル・コート」。
ダッフル Duffel はベルギーの地名。むかし、この地で織られたところから「ダッフル」の名前が生まれたんだそうです。

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