ラファエロとライル

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ラファエロは、イタリアの画家ですよ。ラファエロ・サンティ。Raffaello は、「ラファエッロ」としたほうが、よりイタリア風であるんかも知れませんが。
イタリア、ルネッサンス期を代表する画家。絵画のみならず建築にも才を発揮しています。ラファエロは、1483年にイタリアのウルビノに生まれています。お父さんの、ジョヴァンニも、画家で。幼い頃はジョヴァンニから手ほどきをうけて。
父のジョヴァンニは、ラファエロが十六歳のころ、彼をペルージアに送っています。ペルージアの画家、ペルジーノの弟子にするために。
ラファエロは当時のことですから、多く宗教画を描いています。ことに、『フォリニョの聖母』は最高傑作とされて、今もヴァチカンの所蔵となっています。ラファエロはイタリア人で、美男子で、たいそうおもてになったお方でもあります。
ある時、富豪の、アゴスティーノ=キージが邸宅の装飾を、ラファエロに頼んだことがあった。でも、ラファエロはその仕事を断った。「今、愛している女性がいて、それどころではない」と。ずいぶんな言い方ではありますが。この時、アゴスティーノ=キージは、いいことを思いついた。近くに屋敷を建てて、ラファエロと恋人が一緒に住めて、絵も描けるように計らったのです。
1502年。ラファエロはシエナ大聖堂の絵を描いていた。が、突然、姿を消した。シエナからフィレンツェへ。フィレンツェでの、ミケランジェロの絵を見ておきたいかったので。後に、ラファエロは、ミケランジェロが法王と争って、絵を投げた時。その後を受けて、ラファエロが完成させています。
ラファエロならぬ、ラファエルが出てくる小説に、『かみそりの刃』があります。1944年に、サマセット・モオムが発表した物語。

「あの人ったらね、サン・ラファエル海岸に、あたしの名前で別荘を一軒買ってくれたのよ。」

これは、シュザンヌの科白。シュザンヌもまた、画家という設定なんですが。この少し後に。

「だから、あたし、ただリールの社交界での有名画家だけじゃなくて………」。

とも、語られるのです。「サン・ラファエル」南フランスの町。リールは、北フランス、やがてベルギーに近いあたり。
リール Lille はフランス訓み。英語なら、「ライル」Lille 。その昔、リールは高級綿糸の故郷で、もちろん英国にも輸出されて、「ライル」と呼ばれたものです。強撚の綿糸。ことに上質の靴下用とされたものです。

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