フレンチ・トーストとランバー・ジャケット

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フレンチ・トーストは、美味しいものですよね。朝、フレンチ・トーストを食べると、もうそれだけで、半日分の栄養がとれたような気持にさえなったきます。
まず卵をといて、牛乳に混ぜておいて。ここにしばらく、トーストを寝かせておく。頃合いのよいところで、フライパンでパンの両面を焼く。実に簡単であります。
フレンチ・トーストの原型は、ずいぶんと古いんだそうですね。少なくとも古代ローマの時代にはあった。それというのも、大美食家の、アピキウスがノートに書き遺しているので。
フレンチ・トーストのフレンチ語は、「パン・ペルデュ」。アピキウスのそれも「パン・ペルデュ」と呼ばれるべきでしょう。アピキウスは、「アフリカ産の上等なプチ・パン」を使うと、書いています。
プチ・パンの皮を取って、ミルクにつけておいて。これをオーヴンで焼いたらしい。食べる時には蜂蜜をかけた。食事というよりも菓子の一種だったのかも知れませんが。ただ、今のフレンチ・トーストと違うところは、卵を使っていないところでしょうか。
「フレンチ・トースト」 french toast の言葉自体は、1660年の英国ですでに使われています。1660年に出た料理本の中で、「フレンチ・トースト」が紹介されています。
英国、あるいは米国での「フレンチ」は、ちょっと「軽く」見ている感じがあります。イギリスのとか、アメリカのとか、あまり言いたくない時に、「フレンチなんとか………」。
フレンチ・トーストの奥には、「ほんとうは捨てるところのパンを、倹約して使う」。そん意味が隠されているのかものかも知れませんね。で、「フレンチ・トースト」。
シャツの「フレンチ・カフ」も、本来のシングル・カフに較べて略式の意味なのです。
それはともかく、フレンチ・トーストの出てくるミステリに、『 会員制殺人クラブ』があります。1984年に、グレゴリー・マクドナルドが発表した物語。

「 「フレンチ・トーストです」 コッキーがチェス盤に近づきながら言った。」

ウォルター・コッキーは、元警部補という設定。ほんとうは朝食にキッパーが食べたかったらしいのですが。また、こんな描写も出てきます。

「微小な霧滴が男の粗野なランバー・ジャケットの表面で輝いた。」

これはあるクラブの警備員の着ている服装。ランバー・ジャケットは、本来は木こりに着る作業着だったので、その名前があります。

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