ジョッキーは、騎手のことですよね。競馬で馬を速く走らせる人のこと。
jocky と書いて「ジョッキー」と訓みます。
「ジョッキー・キャップ」の言葉もあるでしょう。騎手のかぶる軽い帽子を。
「ジョッキー」は1592年頃からの英語なんだそうですね。そもそもはスコットランドの言葉から生まれたとのこと。
それは「小さなジョック」の意味があって。ジョックは英語のジャックなので、「ジョッキー」の言葉になったと考えられています。
つまり「少年ジャック」の意味から来ているのです。
少年であるかどうかはさておき。競馬では身体の小さい方が、有利。馬も騎手が軽いほど速く走れるので。
今も昔も騎手に小柄な人が多いのは、そのためなのでしょう。
英国には「ジョッキー・クラブ」がありまして。英語競馬界の総本山となっています。
もともとは、1703年にはじまっているというから、古い。
ロンドンはペルメル街のコーヒーハウス「スター・アンド・ガーター」に、競馬好きの貴族たちが集って、論評を。ここから今の「ジョッキー・クラブ」が出発しているんだとか。
アメリカには、『ジョッキー』という男性用下着会社があります。
1854年。アメリカのウイスコンシン州に於いて誕生。
その時の会社名は、「クーパー・アンド・サンズ」だったという。
その後、より身体にフィットした下着を売り出して。
商品名を、『ジョッキー』に。つまりパンツ式ではなく、ブリーフ式の下着だったのですね。
ここからの想像ですが。1920年代すでに騎手は乗馬用の特別の下着を履いていたのでしょう。それにヒントを得たので、『ジョッキー』の名前にしたのではないでしょうか。
ジョッキーが出てくる小説に、『失われた時を求めて』があります。マルセル・プルーストの長篇。
原稿用紙にしてざっと一万枚。それでもなお未完。
世界でもっとも長い小説なんだそうですね。この中に。
「ジョッキーにもめったに顔を出さないところを見ると、さすがにそれじゃばつが悪いのだろう。あの自称大公には。」
ここでの「ジョッキー」は、当時の巴里でもっとも格式が高いとされた「ジョッキー・クラブ」のこと。
また、『失われた時を求めて』には、こんな描写も出てきます。
「当初は娘だと祖母が想いこんだ「女の子」といっしょにチョッキを仕立てていたが、」
これは「ジョピアン」という男について。
ジョピアンはチョッキの仕立屋。
当時はチョッキ専門の仕立屋があったのでしょう。
フランス語なら、「ジレティエ」giletier となります。
どなたか十九世紀末のジレを仕立てて頂けませんでしょうか。