ダンスは、もちろん舞踏のことですね。踊り。
ダンスが出てくる唄に、『酒場の唄』があります。
♬ ダンスしませうか
骨牌切りませうか ………………。
北原白秋 作詞。中山晋平 作曲。大正六年の発表。骨牌はもちろん「かるた」のことですね。
これより少し前、北原白秋は、鈴木三重吉に会う。しばらくして、三重吉と白秋、すっかり仲良しになった、たまたま並んで、立ち小便。そのとき、三重吉が言った。「白秋よ、これで歌を読め」。と、白秋は。
三重吉よ 俺とお前の 小便が 十字となりて ありがたしありがたし
さすがに、白秋ですねえ。白秋を三重吉に紹介したのが、曼魚。宮川曼魚。深川の鰻屋「宮川」の主なので、宮川曼魚。鰻屋の一方、歌人、随筆家でもあった人物。
以前、宮川曼魚の孫が、デザイナーの、渡辺雪三郎だと聞いたことがあります。まあ、世の中狭いものでありますね。
ダンスが出てくる小説に、『白い靴下』が。1914年に、D・H・ロレンスが発表した物語。つまり、三重吉と白秋とが立ち小便をしていた頃なのですが。
「彼はダンスの名手であった。………………」。
『白い靴下』は、若い夫婦のダンスが描かれる短篇。「彼」は、二十八歳の、ウインストンという青年。「彼」はなにを着ているのか。
「ちょっとスポーツマン・タイプの厚地のダブルの上着を着込み………………」
ダブル・ブレステッドの上着なんですね。いいなあ。
たまには、ダブルの上着でダンスに。そうだ、私、からきしダンスが不得手でした。残念。