鏡の国で、物語といえば、『鏡の国のアリス』ですよね。もちろん、ルイス・キャロルのお話であります。
ルイス・キャロルは『不思議の国のアリス』で、大成功。その続篇として綴られたのが、『鏡の国のアリス』。すべて「鏡の国」の出来事ですから、左右が逆さまに。
1868年の8月。チャールズ・ドジソンは、倫敦の親戚の屋敷に遊びに。そこで、偶然、アリス・レイクスという女の子に会って。大きな鏡の前で、戯れを。アリスが右手に持っているオレンジの位置を巡って。アリスは、言った。
もし私がこの鏡の向うにいるとすれば、オレンジはまだ右手にあるかしら?」
このひと言がドジソンの大きな発想につながったという。
ルイス・キャロルの構想はほぼ固まって。さて、絵師をどうするか。というのは、前回の『不思議の国のアリス』の時、ジョン・テニエルに、あまりにも細かく注文をつけすぎた反省があったので。ルイス・キャロルは、完全主義者だったのですね。
『鏡の国のアリス』の絵師については、二転三転、四転五転した結果、ジョン・テニエルの三つ指でお願いすることに。
1871年12月。『鏡の国のアリス』刊行。クリスマスの時期に間に合って、初版の9″