ウォータールーとウエリントン

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ウォータールーは、ワーテルローのことですよね。ベルギーの地名。ワーテルロー W at er l o o 。これをイギリス人が英語訓みにすると、「ウォータールー」となるのでしょう。
ウォータールーは、今ではロンドンの地名のひとつにもなっています。1817年6月18日に開通式が行われて。
イギリス軍がフランス軍に圧勝した「ウォータールー」の戦いに因んで、ウォータールー・ブリッジ。1876年までのウォータールー・ブリッジは、通行料金が必要だったとか。1877年からは、無料の橋に。
ウォータールー・ブリッジで映画でといえば、1940年の『哀愁』でしょうか。ヴィヴィアン・リーと、ロバート・テイラーの共演。ことにヴィヴィアン・リーの名演が光っていますね。
原題が、『ウォータールー・ブリッジ』。それに対する邦題が、『哀愁』。

「秋氣漸く動く頃が尤も哀愁の深きを催すなるに…………………。」

國木田獨歩が、明治三十二年に発表した『歸去來』に、そのように一節があります。
日本語の情感に、「哀愁」はもちろんあったでしょう。でも、それは主に感興で、色戀とは限らなかった。それが男女の感興になったのは、映画のせいではないでしょうか。
まあ、それくらいに『哀愁』は、印象的な映画だったものと思われます。以降、歌や芝居に「哀愁」は欠かせないものとなっています。それもこれも映画『哀愁』のせいだと、私は勝手に考えているのですが。
ウォータールーが出てくる小説に、『箱ちがい』があります。1889年に、ロバート・ルイス・スティーヴンスンと、ロイド・オズボーンとの共著。この中に。

「ウォータールー駅に着いたら人混みに紛れて姿をくらましてしまおう、そう密かに決心した。」

これは思わぬ大金を手にした、ジョゼフの思惑。また、『箱ちがい』には、こんな描写も。

「順繰りに大きな事務用椅子に座らされて、眼鏡にウェリントンブーツという出で立ちの親切な老紳士の手を借りながら、書類にサインをしてゆくのである。」

ウエリントン・ブーツは、膝下までの、無装飾の、脚にフィットした長靴のこと。
アーサー・ウエルズリー・ウエリントン公爵が考案したので、その名前があります。戦場で、馬に乗りやすいように、簡素化した長靴。
1815年、ウエリントン公爵は、ウォータールーで、同い年のナポレオンを破った英雄。
英雄の愛したブーツがその後に流行ったのも、当然でしょうね。
ウエリントン・ブーツで、ベルギーの、ワーテルローを旅するのも一興ではありますが。

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