ポケットとボーン・スタッド

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

ポケットは、ポシェットのことですよね。
英語の「ポケット」pocket は、フランス語の「ポシェット」pochette から出ているとの説があります。
ポケットは、また「ポッケ」とも。

🎶 右のポッケにゃ 夢がある
  左のポッケにゃ チュウインガム………

1950年のヒット曲『東京キッド』の歌詞ですよね。もちろん、美空ひばりの歌。

「土井少年は引出しをあけて、ポケットブックの探偵小説スリラー小説の類を八九冊もひっぱりだしてみせた。
みなアメリカ製の本であったが………」

1951年に、堀田善衛が発表した小説『広場の孤独』に、そんな一節が出てきます。ポケットに楽に入れておけるサイズなので、「ポケット・ブック」。
アメリカ製ポケット・ブックを読んで、後に作家になった人も少なくないでしょう。
戦争中、日本にやってきたアメリカ兵が、読み捨ててゆく。これがまわりまわって、古本屋に並んだものです。戦後すぐの六本木にも米兵専用の古本屋が何軒かあったくらいに。

ポケットが出てくるミステリに、『ロープとリングの事件』があります。1940年に、レオ・ブルースが発表した物語。

「ポケット・ケースに手を伸ばすと、ビーフの関心はさらに絞られた。」

「ビーフ巡査部長」は、物語の探偵役。
また、『ロープとリングの事件』には、こんな描写も出てきます。

「グリーンバウはカラーもタイもつけず、首のところをボーン・スタッドで留めたありふれたシャツを着ていた。」

エイブ・グリーンバウは、マネージャという 設定になっています。
さて、「ボーン・スタッド」とは、何か。これは、カラー・スタッドのことです。
昔のシャツはたいてい、ディタッチト・カラー。つまり「付襟」ですね。この場合、シャツ本体とカラーとを一体にするためのボタンが、「カラー・スタッド」だったのです。
そのカラー・スタッドがなんらかの「骨」で出来ていたので、「ボーン・スタッド」と表現したものでしょう。
どなたかボーン・スタッドが似合うシャツを仕立てて頂けませんでしょうか。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone