タイルとターンバック・カフ

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タイルは、建材のひとつですよね。キッチンなどにも多く使われています。水にも強いからでしょう。水で濡れてもさっと拭けば簡単にきれいになってくれます。
タイル tile は、英語。ラテン語の「テグラ」tēgula から来ている言葉なんだとか。その意味は、「覆い」の意味であったという。
スラングで「タイル」tile といえば「シルクハット」の意味にもなるんだそうですね。
タイルは、焼き物。その意味では陶器にも似ているんでしょうか。粘土で形を作り、絵付けして、竈で焼くと、タイルの完成
古代エジプトでは、紀元前3500年頃からタイルが作られていたとか。たとえば王宮の床材などにも用いられていたらしい。

「自分の家でタイル張りの浴室にばかり這入りつけてゐるせゐか穴蔵へでも入れられたやうで………」

谷崎潤一郎が、昭和二年に、発表した『蓼喰ふ虫』に、そんな一節が出てきます。これはよそで風呂に入った時の印象として。

瀬戸は今も昔も陶器の町。瀬戸では江戸期すでに装飾タイルが作られていたという。たとえば、「寺田邸」が遺っていて。ここの湯殿は全面タイル張りになっています。

「薄暗いタイル張りの階段のある入口で、ドファルジュは昔の主人の娘の前にひざまずいて、その手に接吻した。」

イギリスの文豪、ディケンズが、1859年に発表した『二都物語』に、そんな文章が出てきます。これはフランス革命期の巴里が背景になっているのですが。
物語はドーヴァーからカレーに船で渡るところからはじまります。

「だから、大きな四角いカフスと、ポケットに大きな雨蓋のついている、かなり着古したものだがたいへん手入れのよい茶の三つ揃いを正式に着こなした六十恰好の紳士が………」

これは「ジャーヴィス・ローリー」の服装。ロンドンの「手ルソン銀行」の支配人という設定になっています。
「大きな四角いカフス」。これは「ターンバック・カフ」turn back cuff のことかと思われます。
もともとは中世の乗馬服にはじまるデザイン。中世の密書を運ぶ騎手が、大きく折返した袖口に入れておいたとの説があります。
どなたかターンバック・カフのあるスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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