アグネスとアルジェリアン

アグネスは、女の人の名前にもありますよね。
ふつう、Agnes と書いて「アグネス」と訓むことが多いようですが。
アグネスの名前は、「セント・アグネス」に由来しているんだとか。
ひとつの例ではありますが。アグネス・ムーアヘッド。
アグネス・ムーアヘッドはアメリカの女優。
1960年代に人気のあったTVドラマ『奥様は魔女』で、魔女役を演じたお方。「エンドレス役」で。
アグネス・ムーアヘッドは1900年12月6日。マサチュウセッツ州に生まれています。ただしイングランドやアイルランドの血が流れている家系だったらしい。

「聖アグネスの夜 ー ああ、身を切る寒さだった、
梟は、その温かな羽毛でも、寒く震えていた。」

英国の詩人、ジョン・キーツが1819年に書いた
『聖アグネスの前夜』に、そのような一節が出てきます。
「聖アグネスの日」とは、四世紀のはじめ、十一月二十一日に殉教したアグネスに因んでの聖日。

「そこには家族の昼食が用意されていた。ビフテキと冷めかけたじゃがいもが私の前に出された。」

1847年に、アン・ブロンテが発表した自伝的小説『アグネス・グレイ』に、そのような文章が出てきます。
ここでの「アグネス・グレイ」は、ほぼアン・ブロンテのことと考えて良いでしょう。

「彼女は思いをうちに秘めた寡黙の女性であり自分を目立たせないようにしていたが、神々しい天性によって際立つ女性であった。」

1871年にナイチン・ゲールの書いた『アグネス・ジョーンズをしのんで』の中に、そのように出ています。
長くナイチン・ゲールと一緒に働いてくれた看護婦が、天命を全うした時の文章なのですが。
2006年に、ミッシェル・ファイバーが発表した小説『天使の渇き』に、「アグネス・ラッカム」という女性が登場するのですが。また、洒落者の話も出てきます。

「今でも憶えているのは、上着の内合わせのあいだからチョッキのボタンが覗かないよう、仕立て屋にボタンの位置も変えさせたことだ。「右へ四分の一インチ」と指示して。」

ということはダブル前のチョッキだったのでしょうか。
また、『天使の渇き』には、こんな描写も出てきます。

「アルジェリア織り、色は月光色、」

これはペチコート・レインでの見聞として。
ここでの「アルジェリア織り」は、「アルジェリアン」
algerian のことかと思われます。
縦糸にコットン、横糸にシルクを配した生地のこと。
縦糸が多くあらわれるところから、「アルジェリアン・シルク」とも。
どなたかアルジェリアンでスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。