アイとアヌアック

アイは、目のことですよね。
eye と書いて「アイ」と訓みます。また「眼」と書くことも。
目にもいろんな目があります。
たとえば「アイレット」eyelet。
アイレットは「鳩目」のこと。
「フック・アンド・アイ」は、日本語のホックのことですね。
日本語の目にもいくつかの表現があるのは、ご存じの通り。
「目は口ほどの物を言う」だとか。
「目が高い」。「目が利く」。「目が肥えている」。
目は明るい所が好き。暗い所ではあまり目が見えないから。
さりとて、明るすぎるのも目には禁物。強い光線は目を痛める原因になります。
雪山やスキー場でサングラスが欠かせないのは、そのためです。
雪目を防ぐための道具として。
サングラス以前には、「雪眼鏡」と言ったものです。
雪眼鏡が出てくる小説に、『アラスカ物語』があります。
昭和四十九年に、新田次郎が発表した物語。
その後、北大路欣也の主演で映画にもなっています。
主人公のフランク安田を演じたのが、北大路欣也なのですが。
ただし、フランク安田は実在の人物だったのですね。

「氷上はまぶしかった。雪眼鏡をかけないと、眼をやられてしまうから、エスキモーたちが使用している。」

これはフランク安田から眺めての現住民の様子として。
また、『アラスカ物語』には、こんな描写も出てきます。

「白い夜明けが始まっていた。エスキモーは毛皮の服の上に厚い毛皮外套(アヌアック)を着ているし、」

新田次郎は『アラスカ物語』のなかで、何度も「アヌアック」と書いています。
英語では「アノラック」anorack 。
エスキモー語では「アヌアック」anoraq 。
どなたかアザラシの毛皮で、アヌアックを作って頂けませんでしょうか。