チャップリンとくればもちろん、喜劇王、チャールズ・チャップリンですよね。
チャップリンがはじめてパリに行くのは、1909年のことなんだそうです。軽演劇の実演のために。もうその頃には、チャップリンの名前がパリでも知られていたのでしょう。では、パリに着いたチャップリンはどうしたのか。
「日曜日の晩は用もなかったので、次の月曜日から出演するはずだったフォリ・ベルジェールのショーを見に行った。」
『チャップリン自伝』には、そんなふうに書いています。まあ、当然のことでしょう。「フォリー・ベルジェール」は今も昔も美しいショーで有名ですよね。
さて、次の日からは、チャップリンの出番。出番が終わった後は客席を散策。当時の女性客は皆、ギブソン・ガールのようなスタイルだったとも書いています。ウエストをうんと細く絞めた着こなしのことですね。
ある日、チャップリンの前を歩いていた貴婦人が手袋を落とした。チャップリンは手袋を拾って貴婦人に。貴婦人はチャップリンに、「メルシー」。これに対するチャップリンの言葉。
「貴方の手袋なら、もう一度拾わせていただきたいものです……」。
その後、どうなったかは『自伝』にも出てはいませんが。
軽演劇からやがて映画の時代になるのですが。チャップリン主演の『街の灯』が公開されるのが、1931年のこと。
1931年、イギリスに生まれたのが、ジョン・ル・カレ。ジョン・ル・カレが2006年に発表したのが、『ミッション・ソング』。この中に。
服装はしゃれたダブルのスーツで濃紺のピンストライプ模様、一九三〇年代末を思わせるチョッキ。」
これは社交界の名士、ジャック・ブリンクリー卿の着こなし。たぶんクラッシックなスタイルなんでしょう。
なにかチョッキを着て。チャップリンの映画を探しに行くとしましょうか。