ウイリアムズにも、いろんな方がいらっしゃるんですしょうね。でも、ここではテネシー・ウイリアムズのことなんですが。
テネシー・ウイリアムズはもちろん、アメリカの劇作家。『ガラスの動物園』や『熱いトタン屋根の猫』、『去年の夏 突然に』など…………。
そして代表作といえば、『欲望という名の電車』でしょうか。よく知られているように、『欲望という名の電車』は最初、舞台で。1947年12月3日に、初演。NY、ブロードウェイの「エセル・バリモア劇場」で。拍手喝采につぐ、拍手喝采。855回の公演となっています。
演劇の場合、よくあることですが。ブロードウェイ公演に先立って、フィラデルフィアでも。また、ボストンでも。ボストンでもフィラデルフィアでも、観客の感触が良かってので。エリア・カザンは、テネシー・ウイリアムズに言った。「これは、当たるかも知れませんね」。
「一人の女性の、というよりは社会の分裂について描いたすばらしい、非のうちどころのない芝居。」
劇評家、ウォルコット・ギブスは『ニューヨーカー』誌に、そのように書いています。
ほとんど無名の、23歳のマーロン・ブランドにはじめて会った時の、テネシー・ウイリアムズの印象。
「これほど手を加えていない才能を備えた男は見たことがなかった。」
『欲望という名の電車』が出てくるミステリに、『血ぬられた愛情』があります。1989年に、エリザベス・ジョージが発表した物語。作者、エリザベス・ジョージはれっきとしたアメリカ人。なんですが、いつも英国を背景にした小説を書くんですね。
「さしずめ『欲望という名の電車』に登場する没落した南部大農場主の娘、ブランチ・デュボアのスコットランド版というところだ。」
また、こんな描写も。
「氷点下の気温への唯一の条件つき降伏としてカシミアのオーヴァーコートとマフラーを着て…………」。
これは、貴族で、警部の、トマス・リンリーの着こなし。寒い時期に、『欲望という名の電車』を観に行くには、カシミアのコートはふさわしいものでしょうね。