道には、歩道というのがありますよね。人が歩いて通る道なので、歩道。歩道でないのが、車道。車が走るための道。
歩道の歴史もずいぶんと古いんだそうですね。少なくとも、エトルリアの時代には、歩道があった。どうして歩道があったのか。馬車の走る道があったから。エトルリアの時代にあったということは、古代ローマに時代にはもちろんあったわけですね。
エトルリアであろうと古代ローマであろうと、車は左、人は右。これは馬に乗った状態で、剣で戦うのに便利だったから。イギリスは今も、左側通行であります。が、ドーヴァー海峡を渡ってフランスに行きますと、右側通行。では、どうしてフランスは右側通行なのか。これはナポレオン・ボナパルトが左効きだったから。
馬に跨った態勢で、左に剣を持って戦うには、左側通行は不利。で、ナポレオンが右側通行に変えたのです。そしてナポレオンの勢力が強かった国はだんだんと左側通行を右側通行に変えていったのです。ウソのようなホントの話。
歩道が出てくる随筆に、『二人連れ』があります。内海隆一郎の作。
「山本さんは、はじかれたような思いで、前方の歩道を目で探った。」
これは中央自動車道のさるサービスエリアで、老婆と小さな女の子を車に乗せてあげる物語。小さな女の子はどんな恰好なのか。
「紺のジーンズの上下をきて、赤い小さなポシェットを肩から斜めに吊していた。」
ポシェットにもいくつか意味があって。フランスで、ポシェット pochette といえば、胸ハンカチを指すことが多い。
白麻のポシェットで、歩道をゆっくり散歩いたしましょうか。