ロバートで、英國の作家ということになりますと、ロバート・ルイス・スティーヴンスンでしょうね。
ロバート・ルイス・スティーヴンスンで、もっとも広く知られているのは、『宝島』でしょう。原題もまた、『トレジャー・アイランド』。
痛快きわまりない『宝島』は、まったくの偶然から生まれた物語なのです。スティーヴンスンには、ロイドという男の子がいました。ある時、ロバートはロイドとふたりで別荘で過ごすことがあった。でも、その頃、雨が多くて外に出ることができない。
男の子のロイドは、退屈で、退屈で。そこでロバートはロイド少年に、物語をしてあげることに。スティーヴンスンはまずはじめに、一枚の地図を。それは孤島で、後の「宝島」であること、言うまでもありません。
スティーヴンスンは地図を書いているうちに、だんだんと物語が生まれてきたのです。それをスティーヴンスンは、物語った。つまり『宝島』の最初は文章ではなく、語りだったのです。
この語りである「宝島」が次第に評判となって、雑誌に連載されることになったのであります。1880年頃のこと。もし、あの時、雨が降り続いていなければ、『宝島』は誕生していなかったかも知れませんね。
アメリカ人で、俳優で、ロバートで。これはわりあい多いかも知れません。ロバート・テイラー、ロバート・レッドフォード、ロバート・デニーロ。ロバート・デニーロの『ゴッドファーザー』は、忘れられない映画のひとつでしょうね。ロバート・デニーロが出てくる小説に、『魂のなかの愛』があります。イヴ・シモンが1978年に発表した物語。翻訳は、永瀧達治。
「ロバート・デ・ニーロのハワイアン・シャツとライザ・ミネリの微笑みが見れるんだよ!」
これは「マルコ」が、「アンジェラ」に対しての言葉なんですね。また、『魂のなかの愛』には、こんな描写も出てきます。
「彼は先の丸い靴を履き、ローデン地のコートに、大きなマフラーをしていた。」
これは、ある刑事の着こなし。刑事が着るわけですから、ローデン・コートは当時のパリでは、とてもよく用いられていたことが分かるでしょう。どんな服の上に羽織れて、実に暖かいので。
ローデン・コートを着て、『宝島』の初版本を探しに行くとしましょうか。