ピルゼンとピルマーゼンス

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ピルゼンは、ビールのひとつですよね。ピルゼン・ビール。ピルスナー製法によるビール。現地での訓みは、「プルゼニ」になるんだそうですが。
ピルゼン・ビールがお好きだったお方に、吉田健一がいます。その昔、吉田健一は大学教授でもあって、週に何回か講座を持っていたらしい。大学は神田で、神田といえば「ランチョン」で。
吉田健一はまず「ランチョン」によって、ビールを一杯きゅうとやりまして。それから悠揚迫らず、教壇に立ってんだそうです。吉田健一の名講義の何分か一は、ビールの功徳だったのかも知れませんが。

「ピルゼン・ビヤホオルというのが他の店に挟まれていて、ここで出すボルシチだの、ピロシキだののロシア料理はビイルの肴にもいいし、それだけで食事にもなる。」

吉田健一は、『ピルゼン』と題する随筆の中で、そんな風に書いています。おそらく戦前のことかと思われるのですが、交詢社の西側に、「ピルゼン・ビヤホオル」があったらしい。その店のことを、さも美味そうに綴っています。
たぶんピルゼン・ビールがお好きだろうと思えるお方に、池内 紀がいます。池内 紀は、『ドイツ職人紀行』の中で、こう書いています。

「フランスの国境に近い町ピルマーゼンスは「靴の町」として知られている。」

ピルマーゼンスは、南ドイツの、静かな町。ドイツの靴職人は皆、ここで修業して、「マイスター」の免状をとる。マイスターの免状なしに靴は作れないので。
ドイツもまた、ビールの美味しい国。ピルマーゼンスに行って、靴を見学して、ビールを頂く。
これもまた、ささやかな夢物語でしょう。

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