サーヴィスとサボ

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世の中には、サーヴィスということがありますよね。サーヴィスは、おまけのような、フロクのような。なんか、トクした感じ。時に、心の中に爽やかな風が吹きぬけることさえあります。
たしかに「サーヴィス」はあるのですが。人それぞれによって、受けとり方が違っていて。たぶん百人いれば百の感じ方があるのでしょう。また、店によっても、百店に百のサーヴィスがあるのでしょう。
では、「クラリジッジーズ」の場合はどうなのか。いうまでもなく、倫敦最高のホテル。人呼んで、「ザ・ホテル」。泣く子も黙る、ホテルの中のホテル。
クラリジッジーズにサーヴィスはあるのか、ないのか。いや、「クラリジッジーズ」は、サーヴィスがうんと詰まったホテルなんだそうです。
むかし、ある時。世界的な音楽家の某がお泊りになった。某が、おっしゃる。「ニースの宿に、腕時計を忘れてきたので、取ってきてくれないか。」
もちろん、スタッフのひとりがニースに飛んで、事なきを得たそうです。これはほんの一例で、それほど珍しいことでもないらしい。ジェフリー・ロビンソン著『ザ・ホテル』には、そのように出ています。著者の、ジェフリー・ロビンソンは、実際に五ヵ月間、「クラリジッジーズ」泊まり、取材を重ね、『ザ・ホテル』を仕上げたんだ、とか。
また、ある時は、こんなことが。さる国の富豪がチェック・アウト。ご夫妻で何日かお泊りになって。勘定書を入念にお調べに。富豪は最後のルーム・サーヴィスに納得していない。朝食は、食べていない、と。
で、担当者が呼ばれて。「たしかに、ルーム・サーヴィスをお持ち致しました」。その時の富豪のお言葉。
「コーヒーは飲んだが、パンは食べていない。」
勘定係は、どうしたか。「ここから、パンの料金をお引きさせていただきます」。
富豪は、莞爾の笑みを浮かべたという。これもまた、「サーヴィス」なんでしょうね。でも、富豪でない者が真似をしても様にはならないと思いますが。

「白い革のサボーという姿で見まわりをする。」

これは、総料理長の、マーヤン・レズニックの様子。「サボー」はたぶん、サボのことでしょう。木靴。佳い調理場ほど、多く水を使う。サボは、水に強い靴なのです。
どこかに、サボは売っていませんか。さらに、サーヴィスもよろしければ……………………。

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