ドームにも、いろんなドームがありますよね。あらゆるドームの中でいちばん幻想的なのが、スノー・ドームでしょう。
日本で、スノー・ドーム。西洋で、「スノー・グローブ」。中に雪が閉じこめられているので、スノー・ドーム。そのつもりになれば、いつでも雪を降らせることができるわけです。
スノー・ドームことスノー・グローブは、十九世紀のはじめに生まれたんだとか。ペイパー・ウエイトのひとつとして。まあ、その意味ではもっとも夢のあるペイパー・ウエイトだったでしょうね。
スノー・ドームにももちろん蒐集家がおりまして。絵師の安西水丸もまた、熱心な愛好家でありました。安西水丸はスノー・ドームを眺めながら絵を書くこともあったでしょう。それで、あんなにもファンタジーがいっぱいなのでしょう。
スノー・ドームが出てくる小説に、「スノードーム」があります。アレックス・シアラーが、2003年い発表した物語。この中に。
「ドームの中身は、町の模型だった。( 中略 ) イギリスの静か郊外にある小さな温泉町。…………………。」
これは、もしかすれば「バース」ではないでしょうか。つまり、バースらしき町がスノー・ドームの中におさめられているわけですね。
ドームが出てくる小説に、『挽歌』が。1957年に、原田康子が発表して話題になった本です。物語の背景は、当時の札幌。
「巨大な主ドームと、それをとりまく、いくつもの小さなドーム……………………。」
これは主人公が、トルコの街の写真を眺めている場面。また、『挽歌』には、こんな描写も。
「純白のオーバー地や、ウール、ジャージイ、ドスキンなど高価な婦人服地が………………………」。
これは、「アイリス」という洋装店での光景。お父さんに連れられて、洋服を仕立ててもらう場面。
「ドスキン」はなにも婦人服ばかりではありません。少し前までの男の正装は、たいていドスキンだったものです。緻密な、光沢のある布地。これはもともと、「ドゥ・スキン」 d o e sk in に似せた生地だったのです。雌鹿の革。
なにかドスキンで仕立てた服を着て、スノー・ドームを探しに行くとしましょうか。