キャプテンとキャンバス

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キャプテンには、船長の意味もありますよね。たとえば、キャプテン・クックだとか。キャプテン・キッドだとか。キャプテン・フックだとか。
そしてもうひとり忘れてならないのが、キャプテン・ドレイク。毀誉褒貶は、キャプテン・ドレイクのためにある言葉なのか。そんなふうにも思えてくる人物でもありましょう。
海賊とも呼ばれ、英雄とも呼ばれることにおいて。本名、フランシス・ドレイク。1543年頃の生まれではないかと、考えられているらしい。イングランドの、デヴォン州で。フランシス・ドレイクが船に乗るようになったのは、1550年代のこと。十歳になるかならぬか。根っからの船乗りだったのは、間違いありません。
フランシス・ドレイクが特別だったのは、エリザベス女王の密命をおびていたことでしょう。エリザベス一世がフランシス・ドレイクを謁見したのは、1577年のはじめ。極秘のうちに。エリザベス女王はドレイクを使って、密かにスペインを攻めようと。
ドレイクは軍艦「ペリカン」を中心とする船隊を組んだ。1755年11月15日のことであります。「ペリカン」には楽隊までもが乗り組んでいた。ドレイクたちが食事を愉しむ際に、演奏ができるように。
楽団が乗っていたということは、靴職人も、仕立て職人も乗っていたのでありますが。
キャプテンが出てくる小説に、『失われた時のカフェで』があります。2007年に、パトリック・モディアノが発表した物語。

「グループのメンバーのひとり、ボーイングが、僕らは≪ キャプテン≫ と呼んでいたのだが………………。」

ここでの「キャプテン」は、「カフェ・コンデ」に集う仲間の愛称。また、『失われた時のカフェで』には、こんな描写も出てきます。

「長すぎるジャケットを着て、キャンバスのトラウザーズにごつごつしたミリタリー・シューズ。」

これが「キャプテン」と仇名される写真家の着こなし。
「キャンバスのトラウザーズ」。いいですねえ。気分は、キャプテンでしょうか。

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