セーヌは、セーヌ河のことですよね。パリの中央を流れている河であります。
セーヌ河があってこその左岸であり、右岸なのでしょう。
「パリ人は右岸で頭を使い、左岸でお金を使う。」
そんな言い方があるんだそうですね。右岸は仕事をする所。左岸は生活する所。そんな意味でもあるのでしょうか。
🎶 セーヌの流れ モンマルトルよ
1957年の日活映画に、『世界を賭ける恋』がありました。その映画主題歌が、『世界を賭ける恋』。私はさっそく映画館に通ったものであります。
ミラボー橋の下をセーヌが流れる
二人の恋も
アポリネールの有名な詩、『ミラボー橋』ですね。これは実際の失恋から生まれたものだと、伝えられています。
大正二年から大正五年まで、フランスに住んだ作家に、島崎藤村がいます。
「セエヌの趣は古いノオトル・ダムの寺院の立つあたりからシャンゼリゼエの街路に添うた一帯の地へかけて、あのごちゃごちゃとした河岸に見られると思います。」
島崎藤村は随筆『セエヌ河畔の家々』の中に、そのように書いています。
セーヌ河の特徴は、手が水に届きそうな河岸まで、下りて行かれるところにもあるでしょう。いつも釣糸を垂れている人がいるくらいですからね。
セーヌ河が出てくる小説に、『マリー・ロジェの謎』があります。1842年に、エドガー・アラン・ポオが発表した短篇。ミステリ仕立てになっているのですが。
「………ボーヴェー氏なる人物が、友人と一緒に、パヴェ・サン・タンドレ街の対岸であるセーヌの河岸の、ルール関門付近でマリーを探していると………」
ポオの『マリー・ロジェの謎』は、巴里が舞台になっているので。また、『マリー・ロジェの謎』には、こんな描写も出てきます。
「ボンネットの紐の結び目は、女結びではなく、引き結びすなわち水夫結びになっていた。」
「水夫結び」。これは原文では、「セイラーズ・ノット」sailor`s knot
になっています。このセイラーズ・ノットは、今のフォア・イン・ハンドのことなのです。もちろん、ごく一般的なネクタイの結び方のことであります。
どなたかセイラーズ・ノットが映える無地のネクタイを作って頂けませんでしょうか。