マディソンとマッキン

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マディソは、ニュウヨークの地名にもありますよね。たとえば、マディソン・アヴェニューだとか、マディソン・スクエア・ガーデンだとか。
昭和三十二年に、ニュウヨークを旅した作家に、三島由紀夫がいます。この時には主に、戯曲への関心からの旅行だったらしい。そんなこともあって、ニュウヨークの演劇界に顔の利く、「ウィリアム・l」にも会っています。

「やがて彼が現れた。チェックのごく細かいズボンに、胸を少しはだけたごく仕立てのよい白いワイシャツを着て、小さい顎髭を生やしている。」

三島由紀夫の随筆『ニューヨークの奇男奇女』に、そのように描写しています。もちろん「ウィリアム・l」のことを。

マディソン・アヴェニューは、第四代アメリカ大統領の、ジェイムズ・マディソンの名前に因んでいるんだそうですね。
ジェイムズ・マディソンは、1809年3月4日に、第四代アメリカ大統領となっています。
当時のアメリカは、イギリスと戦争中でもあって、ホワイトハウスが焼き打ちに遭った時代。1814年のこと。マディソン大統領は辛くもヴァージニア州に難を逃れています。
ここで少し話は飛ぶのですが。
第二十五代アメリカ大統領が、ウィリアム・マッキンリー。1897年にアメリカ大統領に就任しています。
時代には、スペインとの戦争があって、マッキンリーは丁寧に戦況の報告を行ったとのことです。そのために設けたのが、「報道官」。毎日のように「記者会見」をも行ったという。今日の「報道官」は、マッキンリー大統領の時代にはじまるんだとか。
ところが、1901年9月14日に、暗殺されています。過去に暗殺された大統領の三番目になってしまったのです。

マッキンリーと関係のある言葉に、「マッキン。」があります。マッキンは、一般の国語辞典には出ていません。明治の洋服師の言葉なのです。その意味は、ズボンの折返し。つまりはトラウザーズのターンナップ・カフのことなのです。
ウィリアム・マッキンリーがカフ付きのパンツを穿いていたからでしょうか。
今もターンナップ・カフを好む洒落者は少なくありません。ターンナップ・カフは、十九世紀末の、英国での流行なのです。
十九世紀末の流行をクラッシックだと考える人は、カフ付きのトラウザーズが似合うのだと思います。

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