ティップとディアストーカー

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ティップは、チップのことですよね。少しの小銭を置くこと。たとえば喫茶店で珈琲を飲んで、三百円。それとは別に30円ほどの金額を添えること。これすなわちティップであります。
tipと書いて、「ティップ」。ティップは1610年頃からの英語なんだとか。もともとは祝儀への隠語だったそうですね。
でも、日本語での「祝儀」とティップは違います。30円の祝儀というのは、聞いたことがありません。
まだしも「心付け」が近いのでしょうか。心付けであればほんの気持程度ということもあるでしょうから。
心付けが出てくる名作に、『五重塔』があります。明治二十四年に、幸田露伴が発表した短篇。ある名人の話をこれほど潔く書いた物語も珍しいのではないでしょうか。

「………此盆にも此正月にも心付して呉れたお吉と氣がついて八五郎めんくらひ………」

これは八五郎を訪ねたお吉の様子。

以前、ティップの賛成者だったお方に、團 伊玖磨がいます。

「ティップは、堂々とした、行為への代償であり、契約の証左でもあるのだ。」

團 伊玖磨著『パイプのけむり』にそのように書いています。
團 伊玖磨はある時、小銭の持ち合わせがなくて。大きい札を出して「○○を取って下さい」というと、ちゃんときっちり釣銭を持って来たとも、書いています。

團 伊玖磨の『パイプのけむり』には、帽子の話も出てきます。

「この帽子の一大特徴は、普通前だけにある庇が後にも付いていることで………」

團 伊玖磨は、ディアストーカーをそのように説明しています。團 伊玖磨はこのディアストーカーを、ロンドンの「ハロッズ」で買ったんだそうですが。
どなたか本格的なディアストーカーを作って頂けませんでしょうか。

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