トゥイードは、ツィードのことですよね。tweed と書いて、「トゥイード」と訓みます。
スコットランドの毛織物がロンドンの生地屋に並べられるようになったのは、1820年代のこと。そのはじめての送り状に、「トゥイール」tweel
と書いてあって。これを「トゥイード」tweed と読んだ。なにしろ手書きですから、訓みにくいのでしょう。
それで「トゥイード」の言葉が生まれたんだそうですね。
「鈴木君は頭を美麗に分けて、英国仕立てのトヰードを着て、派手な襟飾りをして、胸に金鎖りさへピカつかせて居る体裁………」
夏目漱石が、明治三十七年に発表した小説『吾輩は猫である』に、そんな一節が出てきます。
漱石は「トヰード」と書いていますが、これは今のトゥイードのことかと思われます。
漱石の時代には同じものを、「スコッチ」とも言ったようですね。スコッチ・トゥイードの後半分を省略して。
トゥイードが出てくるミステリに、『眠れる美女』があります。1973年に、ロス・マクドナルドが発表した物語。
「注文仕立てと思える古びたグレイのツイードの服を着ている。」
これは私立探偵のリュウ・アーチャーがレストランに入った時の、相客の男の様子として。
また、『眠れる美女』には、こんな描写も出てきます。
「私がジョイスの門を入ろうとした時、スパイのようにトレンチ・コートを着て帽子の縁を目深に引き下げた若いやせた男が出てきた。」
うーん。ミステリとかスパイにはやはりトレンチ・コートは欠かせないのでしょうね。
どなたか無双のトレンチ・コートを仕立てて頂けませんでしょうか。