ガラントウォーモとカッタウエイ

ガラントウォーモは、紳士のことですよね。
イタリアには、「ガラントウォーモ」の言い方があるんだそうですね。
「紳士」。
英語なら、ジェントルマンでしょうか。
「紳士服」の言葉があり、「紳士用品」の言い方があります。
でも、紳士服を着たからすぐに紳士になれる。それほど簡単なものではありませんが。
では、「紳士」とは何か。
うーん、ひと言では難しいものがあるでしょう。
英国の作家、ダグラス・サザーランドの著作に、
『英国紳士の子供』があります。1979年の刊行。
この中に「紳士とは何か」のヒントがあるようにも思うのですが。

「子供は体面を損わぬ限り、出来るだけ早くプロのナニーの手に委ねて保育して貰うものだ。」

そんな文章が出てきます。
「ナニー」nanny は「乳母」と訳すのが、近いのでしょうか。
著者のダグラス・サザーランドは、生まれてすぐにナニーに預けられて、ナニーの手によって育てられた。そうも書いています。
この点だけを抜き出して考えてみますと。
「紳士とは幼い頃からナニーによって育てられた人間」。
そんなふうにも言えるのでしょうか。
日本でも昔の上流階級では、乳母の存在がありました。
実母は実母として。幼児の教育はすべて乳母に任されたものです。
なぜ、乳母なのか。ほんとうのお母さんは、どうしても甘えが出てくる。泣いたら「おお、よしよし」となりますね。これは人情というものでしょう。
こんなふうに考えますと。紳士は乳母と大いに関係がある。
少なくと良い大学を出たから紳士になれる。そんなことではないようですね。
紳士が出てくる小説に、『黄金の盃』があります。
1904年に、ヘンリー・ジェイムズが発表した長篇。

「あなたのお父様は、正真正銘の紳士だと思います ー
それに相違ありません。」

これは、ヴァーヴァ公爵への形容として。
ここでの「紳士」は、なぜかイタリア語のなっているのですね。
「ガラントウォーモ」と。
『黄金の盃』を読んでおりますと。こんな描写も出てきます。

「彼は一年中どういう場合でも、若いころはやった同じ小さい黒のカッタウエイを着ていた。」

これもまた、ヴァーヴァ公爵の服装として。
「カッタウエイ」cuaway は、モーニング・コートのこと。
フロック・コートの前裾を切り落としたスタイルなので。
どなたか紳士らしいカッタウエイタを仕立てて頂けませんでしょうか。