ディクスンとディナー・ジャケット。

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ディクスンは、わりあいと多い名前ですよね。時に、ディクソンとも。
ニュージーランドには、ナイラ・ディクスンというお方がいらっしゃるんだそうです。衣裳デザイナー。たとえば、2004年の映画『ロード・オブ・ザ・リング』で、映画衣裳を担当。その年のアカデミー賞を受けています。もちろん衣裳部門で。
ディクスンはミステリ作家にもおりまして。ジョン・ディクスン・カー。ジョン・ディクスン・カーの第一作は、1930年に発表した『夜歩く』。この『夜歩く』は、いわゆる密室物。誰ひとり入れないはずの部屋で、なにかが起きる。その謎を解くので、密室物。ジョン・ディクスン・カーは、密室物を得意とした作家でもあります。
ジョン・ディクスン・カーは、多作でもあったミステリ作家。カーはいったいどのようにして、星の数ほどのミステリを書いたのか。
カーは、深夜に書いた。夕食を終えると、階上の書斎に籠る。大きなポットにコーヒーを詰めて。夜中、何杯も何杯もコーヒーを飲みながら、原稿を書いた。ディクスン・カーにとっても密室は必要だったようですね。
そういえば、江戸川乱歩は、土蔵に籠って書いたとの伝説があります。土蔵の中で、蠟燭を点すと、筋が浮かんできたそうですね。
フィリップ・マクドナルドがどのようにして、ミステリを書いたのか。さあ、まったく分りません。フィリップ・マクドナルドが英國の作家であることは間違いありません。が、この人物の経歴などはよく分っていないらしい。ご本人自体がまず、ミステリ。ただ、1930年に、『木を見て森を見ず』という物語を発表しています。ちょっと耳の痛い題ではありますが。この中に。

「ビロードのタキシードを着こんだ、背の高い、やせて、肩の前かがみになった人だった。」

と、書かれています。『木を見て森を見ず』の背景は、英國。ということは、ディナー・ジャケットなのでしょう。
『木を見て森を見ず』は、短篇。この中には「ホワイト・タイ」も出てきます。ディナー・ジャケットもあり、イヴニング・ドレスもあり。1930年代の英國が、ホワイト・タイからブラック・タイへの移行期であったことがよく分るミステリでもあります。
時にはディナー・ジャケットで、ディクスン・カーを気取ってみたいものではありますが…………………。

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