グリムといえば、グリム童話でしょうね。
『グリム童話』そのものは、1815年ころの刊行なんだとか。ただし物語そのものは昔の民話を集めて、完成したという。
つまりグリム兄弟は、民話蒐集家でもあったわけですね。ヤーコプ・グリムがお兄さんで、ウイルヘルム・グリムが弟さん。ひとつ違いの兄弟。ひとつ違いの兄弟で、ふたりとも優れた言語学者であったのも、面白いですね。
グリム童話のひとつに、『赤ずきん』があります。いつもおばあちゃんが作ってくれた「赤ずきん」を着ているので、その名前で呼ばれた。まったくの余談ですが、あの「赤ずきん」は、ビロード製だったと書かれています。
赤ずきんちゃんは、お母さんのお使いで、おばあちゃんのところに。ワインとケーキを届けに。その途中、狼に出会って……。たしかそんなふうに物語ははじまるんでしたね。
狼といえば、「狼の口」という表現があるんだとか。スコーンについて。スコーンを焼いていると、真ん中あたりが割れてくることが。あの裂け目のことを、「狼の口」。そう言われてみると、狼の口に似ていなくもありませんよね。
スコーンが出てくるミステリに、『青雷の光る秋』が。アン・リーヴスが、2010年に発表した物語。
「匂いで、スコーンがもうすぐ焼きあがるのがわかった。」
これはジェーン・ラティマーがスコーンを焼いているところなんですね。フェア・アイルの北端、「フィールドセンター」で。フィールドセンターは、もと灯台だったところ。今は野鳥観測と、B&Bにもなっているという設定。また、こんな描写も。
「ドアがあき、モーリスがはいってきた。綿のシャツに、灰色のカーディガン。膝のところがたるんだコーデュロイのズボンに……」
モーリス・パリーは、フィールドセンターの所長なんですね。モーリスのカーディガンがどんなふうなのか、よく分かりません。が、フェア・アイルでのカーディガンであることはたしかなんですが。
さて、フェア・アイル・ニットを着て。グリム童話をゆっくり読むとしましょうか。