ゴッホといえば、ヴィンセント・ゴッホですよね。
ヴィンセント・ゴッホが一時期、ゴーギャンと一緒に暮らしていたのは、有名な話でしょう。
1888年。南フランスの、アルルで。
ゴッホは、1853年3月30日の生まれ。ゴーギャンは、1848年6月7日の生まれ。ゴーギャンのほうが五つほど、お兄さんということになるんでしょうか。
ゴッホとゴーギャンの生活。ふだん、どんな話をしていたんでしょうね。1888年の12月。ゴッホは弟のテオに宛てた手紙の中に。ある日、ゴーギャンとふたりで、モンペリエ美術館に行ったことが記されています。モンペリエ美術館では、ふたりしてレンブラントの絵を鑑賞。
「議論はまさに激しい電気のようで、話がすんだあとなどは、放電してしまった電池のように、二人とも頭がふらふらに疲れてしまう。」
テオ宛ての手紙には、そのように書いています。これはレンブラントの絵についての、ゴッホとゴーギャンの議論なんですね。そして結論でもあるかのように、こうも書いています。
「レンブラントは魔法使い」
また、ゴーギャンがゴッホに教えることもあったらしい。
「厚塗りにした絵は時々洗って油を取るという方法をゴーギャンから教わった……」
とも述べています。ところでゴーギャンはゴッホの絵をどのように観ていたのか。
「彼は僕の≪ひまわり≫が好きだと言う。」
ここでの「彼」がゴーギャンであるのは、いうまでもないでしょう。ゴーギャンはある巨匠の花の絵に較べて、「好き」と言った。おそらくゴッホの『ひまわり』をもっともはやく、正しく評価したのは、ゴーギャンだったでしょう。
ゴッホの『ひまわり』が出てくるミステリに、『陰謀のKー7』が。ジェラルド・ボズナーが、1989年に発表した物語。
「ゴッホの「ひまわり」が五千万ドル以上したなら、このターナーは千五百万ドル、いや、ひょっとして二千万ドルはかたい。」
これはあるホテルのロビーに飾ってあるターナーの絵を観ての感想。それを観ているのは、謎の男。謎の男は何を着ているのか。
「長い、紺のカシミアの外套は、男を五フィート十インチの実際の身長より長身にみせていた。」
優れたカッティングのコートは、よりスマートにみせてくれることがあるんでしょうね。
さて、なにかコートを羽織って。ゴッホの画集を探しに行くとしましょうか。