聖歌には縁もゆかりもありませんが。でも、聖歌には心を落ち着かせてくれるものですよね。
大好きなものに、『グレゴリオ聖歌』があります。無伴奏の祈りの歌。『グレゴリオ聖歌』を聴くと、心が透明になって。
『グレゴリオ聖歌』は、604年に世を去ったグレゴリウス一世と関係があるんだそうです。もちろん、宗教音楽のひとつ。
聖典を空で覚えるのは、難しい。でも、それに節をつけてあると、わりあい覚えやすい。たぶんそんなことから、自然にメロディーが生まれてのでしょうね。
『グレゴリオ聖歌』が出てくる小説に、『花のノートルダム』があります。1944年に、ジャン・ジュネが発表した物語。ジャン・ジュネは、フランスの作家ですよね。
「ディヴィーヌは甲高い声で「来たり給え、創造主なる精霊よ」 ( ヴェニ・クレアトール ) を歌った。」
「ヴェニ・クレアトール」もまた、『グレゴリオ聖歌』のひとつなんだそうです。『花のノートルダム』は、ジャン・ジュネにとっての出世作。
ジュネ・ジュネは1943年に、ジャン・コクトオに会って。『花のノートルダム』の原稿を見てもらう。コクトオは、読んで高く評価。ジャン・ジュネ、三十二歳の時なんですね。『花のノートルダム』には、こんな描写も。
「彼が見たミニヨンは、英国皇太子のようなスーツに身を包み、帽子目深にかぶり、歩くときにも肩をまったく揺らさなかった。」
スーツはもちろんですが、その歩き方にも、興味惹かれますね。
グレゴリオ聖歌が聴こえてくるような、歩き方ができるといいんですがねえ。